今回は「フリースタイルのこと」。
フリースタイルとは、音楽に合わせて、各種の技を組み合わせてなわとびの演技をすること。また、その競技のことも指す。
フリースタイルについては、まずは2つの動画について書きたい。
知っている人は当然のように知っている。でも、「最初の高揚」は順番としてはずせない。今回と次回は、そんなちょっとわがままな語りです。
フリースタイルなわとび 第3回全日本大会 優勝演技 粕尾将一 - YouTube
僕が初めて見たフリースタイルは、このかたの演技だった。
粕尾将一さん。「縄のまっちゃん」。
6重跳びを成功させたり、アジア選手権で優勝したりと、日本のなわとび界のさきがけとなって活躍したかたで、現在はそのパフォーマンスを買われ、著名なサーカス集団「シルク・ド・ソレイユ」でロープスキッピングのパフォーマンスを中心として活躍されている。
いろいろと技の動画を見て、技の種類の多さは知っていたはずだが、それが組み合わさったこの演技を見たときが、「なわとびの神髄」を感じさせられたときだったと思う。
その道を高みまで登った人は、ここまでやるのか。
それまでにも、ジャグリングとか、折り紙とか、さまざまな分野でその道の達人というものをいくつも見てきた。どんな分野にも高みはある。それは知識として知っていたはずなのに、なわとびは単品の技だけで感心していて、その先に進めばあるはずのものに気づけなかった。だからこそ、印象もひとしおだった。読みが浅いというのは幸せなことだ(笑)。
他にも、これだけ多くの技を跳んでいるのにミスがないこと、すごく安定して跳んでいること、あたりが印象が強かった。実際に技に挑戦し始めると、単発で飛ぶだけでも大変。それを身をもって知っていたから、なおさら印象が強かった。この「安定」というキーワードだけでも、何個か記事にできてしまう。また書きます。
とりあえず、この動画、今でも見るたびにあこがれる。
あえて見どころを言えば、今は最初の「スペシャルウォーク」だと思っている。地味かもしれない。でも、観客に堂々と笑顔を見せて、ここからの期待を一気に集めるまっちゃんの姿は、まぎれもなくパフォーマーだ。注目を浴びるのは重圧でもある。でも、内側にあったであろうその負荷を熱意に変えて、まっちゃんは見事な演技をした。あのウォークと笑顔は、自ら鳴らしたファンファーレだったと思う。
なお、この技、ちゃんと縄は足の下を通っている。それを感じさせずに「歩く」のは、これで一つの完成された技だ。
まっちゃんこと粕尾さんのブログでは、なわとびの練習法も公開されている。もともとなわとび研究で大学入学を果たしたほどのかたなので、練習の段階、縄の動きをどうしたらいいかなど、必要な要素が詰まった「お手本」だ。初心者から上級者まで、きっと、「自分のなわとび」を見直すことができるはず。
なわとび指導法の研究成果 粕尾将一が全力でまとめた「なわとびの教え方」 - なわとび1本で何でもできるのだ
僕も基本に返って参考にしている。その過程で思わずまっちゃんに質問をして、丁寧に答えてくださって……。なわとび界にすこしだけでも恩返ししたい、という気持ちがこのブログの始まりにあったが、まっちゃんのなわとびにかける情熱に応えたい、というのもまた、始まりにあったものの一つだ。まっちゃんこと粕尾様、その節はありがとうございました。
始まって間もないけど、いい形で残したい。
次回、もう1つ、きっかけの動画を語ります。