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とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

047 あなたの得意はみんなの期待

なわとびのこと

今回は「得意技のこと」。

学校でなわとびデビューしてから、一度だけ子どもに聞かれたことがある。

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答えられなかった。実際、聞かれるまで、考えたこともなかった。

いろんな技を身につけて跳ぶのが好きで、組み合わせればフリースタイルになる。でも、いつもどこかで簡単に引っかかってしまうので、「これは苦手だな」と思うことはあっても、「これなら任せろ!」みたいな技って、自分にはなかった。


なわとび界の有名人には、代名詞のような技がある。

三村さんの後方宙返り、ヒジキさんの後ろ5重跳び、柳下さんのステップ、森口さんの6重跳び。藤沢さんのトランジションクロス系や開脚(スプリット?)もそれに近いだろうか。

競技なわとびは演技や技構成が似てしまう、と以前粕尾さんがブログに書かれていた。みんなが高得点を狙い、限られた技の組み合わせで競う以上、どうしても起こってしまうことだと。ただ、その中で、「この人ならこの技」と言えてしまう姿を組み込んでいるから、上の皆さんは一歩抜きん出ている。

意識してかどうかはわからない。ただ、「この技だけははずせない」という気持ちが、きっと皆さんにはあるのだ。「自分にしかできないからやる」とか、「人と違う見せ方をしたい」とか、元々の動機は人それぞれだろう。それがいつしか「定番」になったのだと思う。


定番と書いて思い出す話。

これも粕尾さんが書かれていたことだが、「第9回の日本選手権で、柳下さんだけが(演技中に)観客から拍手をもらった」という逸話がある。あの考察とは別に、当時、単純に思ったことがあった。

「お約束」を披露したから、みんな喜んだんだろうなあ……。

必ず来る。どこかで見せる。
「それ」が始まり、柳下さんが縄と足音を刻みきる。
そして送られる拍手。
拍手は、「期待」にこたえてくれた賞賛に見えた。

これはもう、その場だけで作られる賞賛ではない。「ヤギーなら絶対ステップを見せてくれる」と観客が知っていて、「お待たせしました!いくよ!」と跳ぶ側がこたえる。競技選手、あるいはパフォーマーとして何度も姿を見せた人だけが始めから持てる優先権みたいなものだろう。

見たいという気持ちに、見せてこたえるコミュニケーション。

ここまでコミュニケーションのようにできる人はそんなにいない。でも、他の人にも、「実は本人が見せたくて跳んでいる技」があると思う。それ以上のレベルの技が披露されて埋もれていたとしても、その人にとっては、必死で練習して大舞台で決めて見せた技、みたいなものが。

そういう目で動画を見ると、また違った熱意が伝わってくるかもしれない。


最初に描いたイラスト。

あのとき、自信がなくても言える言葉はあった。たとえば「連続レッグオーバーならいけるよ!」と言えたはずだ。実際は1跳躍をはさんでゆったりめに数種類の技をするので、そこまで自慢できる姿じゃない。でも、学校では「神技!」と子どもに言ってもらえた連続技だ。それなら、思いきって「見たか得意技!」と言ったほうが盛り上がる。

競技選手並みの「得意」に届いていなくてもいい。自分の跳んでいる場所に合った「期待」があるなら、それに答えるのが一番だ。

あのときの言葉に、今度はちゃんと答えたい。


さて、そんなこんなで考えて、1つそれっぽい技をやっていたことに気づいた。これもそこまで自慢できる技ではないけれど、「あり」かなあ、と。

そんなわけで、次回は「ダイレクト後ろはやぶさのこと」。