とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

052 World Jump Rope 2014

今回は「World Jump Rope 2014のこと」。

他の内容を書いているところだったけれど、先にこちらを書く。
その映像に心を揺さぶられたから。


World Jump Rope 2014とは、この7月の初めにアメリカで行われた大会だ。日本からも単縄では3名が選手出場している。生山ヒジキさんこと生山雅士さん、SADAさんこと渡邊貞稔さん、クロちゃんこと黒野寛馬さん。ダブルダッチでも8人くらい名前があった。

大会の開催や、3名が出場することは知っていたけれど、最初はそのうち動画で見られることを期待している程度だった。ところが、どうもネットでライブ配信されているらしいのを知って、急いで見に行った。

間に合った個人フリースタイルで、僕は初めてリアルタイムで競技を見ることができた。


そこで見たのは、休みなく迫ってくる共感の気持ち。

思った以上にたくさんの人が縄にひっかかっていた。その多くは、僕にはできない技だったけれど、失敗したときの悔しさは自分もフリースタイルを練習しているから痛いほどわかる。

思わず真顔になる人の苦しい瞬間。それでも笑顔をジャッジに見せて、自ら雰囲気を立て直そうとする姿に、なんて強い人たちなんだろうと思った。

本当はノーミスで行きたいし、それが自分で作った理想の演技なのだ。でも、緊張や、練習とは違う環境に、どこかで選手は揺さぶられる。それを覚悟して立った舞台で、覚悟していても心がくじけそうになる「ミス」という瞬間。

ミスが入ってしまった1人1人が、それを乗り越えて演技し続ける姿に胸を締めつけられた。


一方で、やっぱりひきつけられる。

どれも、大会後に好演技だけを選び抜いた動画ではない。ここからどうなるかわからない、すべてが初めて見るフリースタイル。

この大会、なぜかフリースタイルに音楽がないうえに、4分割されたフロアで4人同時に演技していた。あとで大会要綱を読んだら、なるべく多くの人に演技の機会を与えるために同時演技にしたらしく、音楽もそれに合わせてなくしたらしい。なんという思いきった計画……。こういうのを合理的なアメリカらしさというんだろうか(笑)。

それはともかく、一気に4人の演技が繰り広げられるわけだ。音楽はないし、次々とカメラが変わってせわしないけれど、そこには縄1本、体1つで自分だけの演技を見せる人たちがいた。そんな人たちが次々と技を決めていく姿は壮観だった。

開脚倒立をしたと思ったらドンキーに入る技は、日本ではあまり見なかったので驚いた。結構技に入れている人がいる。跳ぶ人はほんとに跳びまくっていて、魚雷のようにきりもみしながらアクロバットしてる人もいた。これはもう、違った意味で壮観(笑)。

人によってはゆっくりめの動きだったけれど、それでも僕にはできない動きで縄を通している。動画で上手な人を見慣れているせいでゆっくりに見えるだけで、出場するだけでもやっぱりレベルが高いとつくづく思う。

選手としてはどうだったんだろう。音楽はなく、自分への注目も同組の選手と分散される。試合構成をまとめられてしまうことで、複雑な気持ちで演技にのぞんだ人もいたんじゃないだろうか。次回は、どういう構成にするのかな。


最後に、配信で見た人なら待ってましたのことを書こう。

なんで日本選手の前で配信止まっちゃったの!

そう、実は最初に名前をあげた3名のフリースタイルは見られなかったのだ。よりにもよって生山さんの組の直前に動画が止まり、以降、渡邊さんも黒野さんも配信は届かなかった。

これ、世界中そうだったみたいだ。配信画面には関連Twitterも更新表示されていたのだが、各国から悲鳴のつぶやきが……。日本でも単縄バトルに出ていた京都のかたの無念の言葉が流れてきた。

ほんとに残念。配信を知って、スケジュールを見て3人とも演技を見られると思ったのに……。ちなみに、3人ともいい得点を出してました。中でも黒野さんはトップクラスの数字を記録。3人とも海を渡って大活躍だったのだ。

きっと、3人の演技が動画で公開されることを願う。


それでも、配信が止まるまでの立て続けのフリースタイルは見ごたえがあった。

何十人も演技を見ることができて、そして、1人1人の表情に胸を打たれた。
そのときの気持ちを、拍手に代えて。

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……とはいえ、ここまでは3日目の話。

次回は、最終日の話。
すごい演技の数々を見ながら、ふと、ある人の決意を思い出していました。