今回は「日常のC点のこと」。
7月下旬から8月上旬にかけて、香港で開催された世界選手権。ところどころ見てましたが、やっぱり別世界ですね……。今回書くのは、そんな世界選手権の結果を見ているうちに感じた、ちょっと別のことです。
技点で満点を出した人が3人もいるらしい。
大会終了後、そんな話を耳にして、改めてフリースタイルの結果表を見ました。たしかに、250点出してる人が3人もいる……。
でも、その3人はそろって1位というわけではありません。フリースタイルには、技点(Difficulty:D得点)と並んで、演技点(Creativity:C得点)という基準があって、その合計が総得点になります。3人の最終結果を分けたのは、今回はC得点でした。
そんな目で結果表を見ていて、ふと、気になったこと。
D点よりC点のほうが取るのが難しい……?
D点は満点が3人もいましたが、C点は1人も満点がいません。全体的に、D点>C点の選手が多いように見えました。
跳ぶだけならできるけれど、見せるのは難しい。
なんとなく、こんなイメージを持って、ふと、先生たちの前で跳んだときのことを思い出しました。
今の小学校に転勤したころのことです。先生たちに技を見せる機会があって、意気揚々と跳んだんですが、今でも覚えているこの一言。
「速すぎて、なんだかよくわからんかった」
この、「難しい技に驚いてもらえても、それだけでいい評価をもらえるわけじゃない」という体験は、練習を続けても、頭のどこかでずっと引っかかっています。
上のようにC点のことを考えたとき、「世界も日常も、このへんは通じるものがあるんだな」と思いました。跳ぶだけなら、練習の果てに大技も跳ぶことができる。でも、それだけじゃ「評価の高いなわとび」にならないんだなあ、と。
見せる相手に認められて、初めて質の高い技になるんでしょうね。
大会のような競技なら、D点を取ったうえに、C点の評価も高ければ、総得点で上位に立てるようです。一方、日常のなわとびだとどうでしょう。
たとえば、学校ではまず見られないEK。これを見せて驚いてもらえても、「なんか回転しながらびゅんびゅん回してた」くらいに見られるのでは、まだまだなんでしょう。競技で言えば、D点は取れても、「普通の人相手のC点」は取れていない、と言えると思います。
ここまでじゃなくても、普通の人が見ても、わかったうえですごいと言ってもらえる、そんな跳び方も考えていきたいですね。
ただハデな技を跳ぶだけに終わっちゃだめなんだなあと、改めて自分の跳び方を見つめ直すきっかけになったのでした。
きっと、こんな日常レベルの意識が、ルールも合わさって高みにのぼると、競技選手の舞台になるんでしょうね。それでもなお、(たぶん)C点がひとつの壁になっているところに、人に見せることの難しさが表れている気がします。
日常の技1つと、フリースタイル競技の演技点を同列に語るのは乱暴かもしれませんが、人に見せるという点で、何か同じ根っこがあるような……、そんな気がしました。
じゃあ、日常で「相手にわかる」跳び方ってなんでしょう?
例に出したEKも、ゆっくり跳びのように、スローモーション風に跳べばわかりやすいものの、難しい話です。競技選手レベルになると、できる人もいそうですが、僕には無理です(笑)。他にもいろんな技があって、さて、どうすれば普通の人相手にうまく見せられるのか。
次回は、そのへんを書きたいと思います。