今回は「とびなわのこと」。
なわとびシーズンが始まり、学校で子どもと跳んだり教えたりしています。そんな中、僕の持っているとびなわは、子どもたちに人気があります。自分の縄を持っていても、僕の縄を借りに来る子は多いです。
毎回6本持って、外に出ます。増えましたね(笑)。これだけ数があると、子どもも最初は珍しさで借りたがりますが、そのうち、興味だけでなく「貸して!」と言ってきます。跳びやすいからだそうです。
実は、子どもたちが使っている縄が悪いわけではありません。
そりゃあ中には100均ぽいのを使ってる子もいますが、交換して借りて跳んでみれば、そんなに跳び心地は悪くありません。
・縛って保管しているから縄にクセがついている。
・長さをうまく調節できていない。
・回し方やタイミングなどの技術的な問題。
だいたい、この3つが子どもの楽しいなわとびを邪魔している気がします。
縄のクセは、よく言われる「熱湯につけてから伸ばす」でなんとかなります。
長さは、長すぎる子が多いですね。これは「短いとひっかかる」のがイヤで逆に走った結果じゃないでしょうか。長すぎると縄のコントロールがきかなくなるので、せいぜい回す位置から5センチくらいの長さがいいと思います。
ここまできて、3つめの技術面が課題になるわけですが、上2つのせいで、3つめにすらたどりつけない子もちょくちょく見ます。縄はいいのに、もったいない話です。なわとびという運動の大切な「道具」が「道具」になってません。
いい仕事はいい道具から。
大工でよく言われます。日曜大工でも、工作でも、同じです。安い道具は壊れやすかったり、精密さに欠けたりします。完成品の質にも影響してきます。
なわとびも同じでしょう。
いいとびなわを使えば回しやすく、それだけ技のコツがつかめます。逆に、縄自体がふにゃふにゃしていたり、長さが適当だったりすれば、その分、失敗も多くなります。上達にはつながりません。へたをすれば、跳べなくてやる気までなくしてしまいます。
前回書いた遠心力の話にもつながります。回しやすければ、勢いもつきます。子どもも、自分の縄では得られない回しやすさが実感できるから、乗り気で借りに来るのでしょう。最初は「なんか重い」と言います。でも、そのうち、勢いがつけばその重さでも安定することに気づいて、出てくる声が「跳びやすい!」「また貸して!」に変わってきます。
ある男の子は、交差跳びが苦手でした。交差が小さくて、苦しそうなフォームでした。しかも、グリップが短い縄です。まず成功させたいと思って、グリップの長い縄で跳んだら、すぐに2、3回跳んでしまいました。自然と笑顔になっていたのを見て、こっちもうれしくなりました。
あの笑顔が返ってきた瞬間が、ほんとうれしいですね。道具で乗り気にさせてるだけなので、そんなに自慢できる話ではありませんが、これも1つのやりかたです。僕の縄で得たコツを、自分の縄でも発揮できるようにアドバイスしていけると、さらにいいでしょうね。
ただ、1つ問題があって……。
元は僕用なので、長さだけは合わないらしく、返ってきた縄はかなり結んで短くされてます。ほどくと、またクセでぼよぼよに……。再びお湯につけなきゃだめでしょうか(笑)。いいよ、これで楽しく跳んで覚えられるなら、何度だって結んじゃいな!
これが子どもとの縁結び、ということで、今回の結びにしたいと思います。