今回は「縄の勢いのこと」。
交差は縄に勢いがあったほうが跳びやすいのではないか?
後ろのASを跳んでいると、そんなことを感じます。わかるかたは説明不要でしょうけど、後ろのASとはこんな技です。
後ろ回しで縄が見えないうえに、おしりの下(ひざの後ろ)で交差をするので、タイミングがつかめないうえに、腕もこんがらがりそうになります。
最初はまともに縄が通りません。たぶん、ゆっくり縄と腕の動きを確かめながらフォームを試すと思います。形になっても、縄が通る気がしません。
ところが、縄にある程度勢いがつくと、できそうな感触がしてきます。
なぜでしょう?
「縄の位置がわかるから」ではないかと思います。
勢いがつくと、縄に外向きの力が生まれます。何度か書いた「遠心力」ですね。遠心力が働くと、縄が外方向へ引っぱられる力が手元(グリップ)にも伝わってきます。
縄の動きは速いですが、遠心力を感じるというのは、「どこで縄が動いているのか」を感じているのと同じです。目で見えなくても、たとえば2重跳びで、縄が足の下を通るときの勢いで縄の位置がわかりますし、逆に、そこからすこし勢いがなくなると縄がどのへんに行ったかわからなくなる(気づくと頭上を越えている)と思います。
縄がゆっくり回っていると、こうはいきません。
跳ぶタイミングって、そうした縄の位置を感じとって合わせた結果なのかもしれませんね。
勢いは、単純に縄を回しきる効果もあります。
あや跳びや交差跳びに挑戦している子で、腕を交差させた形は作れても、縄を回しきれずに止まってしまう姿を見ます。腕を交差させるのに手いっぱいで、縄がゆっくりになったからですね。
そういうときの突破口が、縄の勢いです。
始めは縄が速くて腕を交差させるのが追いつかないかもしれません。でも、だんだんと、回ってくる縄と一緒に交差を作れるようになってきて、縄にも勢いがあるので、そのまま縄がもう1回転してくれます。
縄の勢いがつくと、上で書いたような縄の位置をつかむ感覚にもつながって、どんどん自在に縄を回したり、交差させたりできるようになるんじゃないでしょうか。
冒頭の後ろASの話に戻るんですが、一番「縄を感じた」のは、後ろOASです。
後ろ2重跳びで、2回旋めでASを跳ぶ技です。これ、1回旋めは普通の後ろ回しですが、後ろ2重跳びの勢いで回しているので、それなりに勢いがあります。
この1回旋めが大切で、縄に勢いがつくとき、背中からおしりにかけて回る縄の位置が感じられます。この一瞬って、一瞬ですけどすごく感覚に残るんですよ。もう1回旋してきて、また同じ位置に勢いがついてきたところへ繰り出すASの交差!
感じとった空間に技を決め込むような、すごく「はまった感」のある一瞬です。
1回旋めで勢いも位置も体が覚えているので、ひざの後ろでも交差しやすいんでしょうね。さらに、勢いを使えているので、縄もちゃんと後ろへ回ってきます。
なかなか上手にはなれない僕ですが、今回の縄を感じて合わせる感覚は気持ちよかったですね……。
いろんな技で、こういう感覚を味わえるようになると、なわとびって、もっと楽しいんでしょうね。
そこに近づけるように、がんばります。