とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

149 縄にも人にも

今回は「伝え方のこと」。

ひさしぶりに学校でクラブの時間がありました。

今回やったのは、ヒーローフィニッシュ、ステップスルー、リリース、2in1+トラベラー。ステップスルーというのは、モンキーの手を入れ替えない動きです。名称はこの動画から。


やった内容はともかく、今回は伝え方を考えさせられた1時間でした。

今年は、毎回2重跳び講座を入れてます。やっぱり、2重跳びは小学校のなわとびの中核ですし、技術的にも、大切な部分が多いので。

今回は「間をとってみよう」がテーマでした。ひたすら回しまくるのではなく、1回ずつ、跳び終わりから次の跳び始めに縄の勢いを緩めましょうというポイントです。いわゆる縄のブレーキングですね。

この見本を最初に跳んで見せました。わかりやすいように、わざとらしいくらいに「間」をおいて2重跳びをして見せました。が……。

「せんせー、跳びにくい!」
「縄、へにゃへにゃ(笑)」

見本と同じくらい「間」をとって、縄をゆっくりにするどころか超失速させて回せなくなる子どもたち。いや、僕が言いたかったのは――。

「ごめん! さっきのは極端にやっただけで、スピードがゆるくなってればOK!」

それ最初に言えよって話ですね(笑)。


つまり、伝えたいことが伝わってなかったわけです。

大切なのは、縄をゆっくりにすることで、次のタイミングをつかみやすくすること。

でも、見本のほうが伝わり方として上回ってしまいました。説明よりも、視覚のほうが強かったわけです。相手が小学生だからではありません。大人だって、見本で焼きついたイメージで、先に聞いていた説明が上書きされてしまう人はいるでしょう。

このときは、後付けでしたが伝えたいことが伝わって、慣れている子は間を意識した2重跳びを体験していました。間があるおかげか、テンポよく、集中して跳べている感じの子もちらほらいました。

間のとりかたを理解することよりも、実際に2重跳びを跳びやすくなっていれば、伝わったと思ってもいいでしょうか。ヒーローフィニッシュも、技の形があるおかげか、説明がへたになっても、後付けでポイントが伝わった感じがしました。

しかし、です。

ステップスルーやリリースのように、あまりやったことのない回し方は伝わりづらいです。感覚的な部分が大きいせいだと思います。ステップスルーみたいに形のある動きでも、縄が思うように回らない子は、形どころじゃない状態でした。


これは、そもそも僕自身に「縄に伝える」技術が足りないのも原因です。

縄を張って回せないことに、今も苦しんでいます。リリースは、10回転もたせることができません。「できるけど言語化できない」どころか、「できないから言語化もできない」状態で、人に伝えようとしているのです。そりゃ伝わりません。

できた子もいます。たぶんそういう子は、僕よりセンスがあります。説明よりも、見本を見ただけで動きを理解して、ちょっと試行錯誤しただけで回せてしまうんです。はっきりいってうらやましいです(笑)。

リリースについては、これだ!という仕上がりができないまま、こんなプリントになりました。

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わかるようでわかりません。どうしてもグリップがついてこなくて、地面の上をグリップがカラカラ回っているだけの子も多かったです。あのグリップを浮き上げる技術は、どこにあるのか……。伝えきれませんでした。僕自身、なんとなく身につけてしまっただけなんでしょうね。


ちなみに、最近、ある先生から「授業計画には、できない子への手立てと、できた子への手立てが書かれていますか」という確認がありました。それを聞いていたので、リリースでも段階練習や発展問題を入れました。5つめと6つめがそれです。

でも、縄の途中を持って回すって、結局ベッドメリー(赤ちゃんをあやすあれです)みたいに回るだけで、「グリップを持って回す感覚」とはちょっと違うんですよね……。キャッチも、横回しからだと難しいです。こちらは、「キャッチしやすい回し方が他にあるんじゃないか?」という気づきにつなげられるとも言えますが、いや、描いたときはそんなこと気づきませんでした(笑)。

結論。縄にも人にも、伝えるのは簡単ではありません。