とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

222 新なわとびに続く道(2)

今回は「単縄のこと」。

前回、なわとびは新体操にもつながりがある話を書きました。

新体操が従来の体操と違うものとして「新」体操と名づけられたなら、単縄やフリースタイルは「新」なわとびと言えるかも……なんてことも書きました。

ところが、新しいと言っているわりに、単縄ってそこまで広まっているわけでもないんですよね。

新しいようで、新しくないからです。


理由は、ご存じのとおり、冬の運動としてみんなやったことがあるから

たしかに(短縄よりマニアックという意味で)単縄は見たことのない技ばかりです。なわとびでこんなことができるのかという驚きを見せられます。でも、「じゃあやってみようか」と思ってもらうには、急にハードルが上がります。

多くの人が知ってるんですよね。なわとびってどんなものか。

経験がそのまま印象になります。苦手だった人は挑戦しようとは思いづらいですし、得意だったと覚えている人もそんなにいません。なわとびをしたころの延長線上に単縄がありますが、そもそも延長線が延びてないのです。

かといって、まっさら未経験、新しい気持ちで単縄を見られるわけでもありません。すこしは記憶があるので、単縄に驚きつつも、自分が跳ぶとなれば、「なわとび。今さらねえ……」となってしまいます。

見るのは別です。逆に、みんなが知っているなわとびとのギャップが売りみたいなところがありますから(笑)。


難しいのは、そこから実際に跳ぶ人が生まれることです。

同じ縄を跳ぶのでも、ダブルダッチみたいにだいぶ見た目が変わったものだとゼロからのスタートに思えるので挑戦しやすいですが、単縄は、言ってみれば途中からの再スタートです。「わざわざもう一度跳びはじめる」後押しを、どうやったらできるのか。

ひとりきりで跳ぶことが多いのも気になります。ブームになっていればいいですが、そうじゃない環境で単縄をするのは、抵抗があります。これもダブルダッチなら、数人でできるおかげで、たとえば公園でもそこまで違和感はありません。

なので、とりあえず人を巻き込むのは重要です。

ただ、みんな単縄好きの性格とは限りません。

単縄につながっていそうなのは、たとえばダブルダッチダンス、体操、新体操です。共通点は「演じる」ものだということです。単縄も、フリースタイルみたいな演技がありますし、単縄自体、ひとりで技を演じているようなものです。

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単縄に人を呼び込むならなわとびイベント……と思えますが、「なわとびの進化系」というくくりではなく、「演じる手段のひとつ」というくくりで考えることもできるんでしょうね。

実際にパフォーマンスを見せている人たちの舞台は、なわとびイベントだけではありません。大道芸コンテストに縄で挑んだ人、マウンテンバイクのフリースタイルパフォーマーと一緒に演技という枠で跳んでいる人――このとき、なわとびは手段でしかありません。

昨年の全日本大会では、ゲストパフォーマンスのような形で、新体操選手の演技が行われたそうです。こういうつながりが、単縄を知ってもらうことにもつながって、逆にこちらの世界に人を呼ぶ手立てにもなるのかもしれません。


どうやったら単縄が広まるのか、と考えることがあります。

実際に広めようとがんばってるわけでもないのですが、やっぱりマイナーだと、たまにそう思うこともあります。新体操につながりを見つけたことで、むしろなわとびとは違う方向から、でも、違う接点のあるところでアピールするやりかたもあるのだと、今ごろになって思いました。

そのとき初めて、従来のなわとびは経験となって、「やったことがあるからできるかも」と、新しいなわとびの姿を追いかけはじめるのかもしれません。