■ 子どもは自分たちで考える
今回は「クラブのこと」。
学校のクラブでトラベラーを教えていたとき、子どもがおもしろいことをしてました。
とび「え、なにやってんの」
児童「長さ比べてるの!」
……ああ、長い縄を選んでるのか!
トラベラーは、2in1(1本2人とび)の応用です。
横に並んだ人のジャンプに合わせて、縄を持った1人が順番に2人とびをして進んでいく技です。次々と2人とびが進んでいくのは、小さな演技に近いです。
他人のジャンプに合わせて縄を回すので、縄を持った人は、上手に回せる人が向いています。他人に合わせて縄をあやつるって、意外と大変ですからね。
なので、回す人の技術とか、みんなのリズムとか、そういうところを僕は気にしていたんですが、その子たちの発想は「2人が入って跳べる長さ」「それならなるべく長い縄」というところにたどりついたみたいです。それでみんなの縄を伸ばしていたのです。
僕は何もヒントを言いませんでした。トラベラーを始めて、すこし時間がたってからだったので、長さ比べをするまでに、その子たちは何度か挑戦して、失敗していたんじゃないかと思います。それで自分たちでうまくいく方法を考えた。
なんかやられましたね。
教えればあとは勝手に考える、みたいな一種の理想をそのまま見た感じでした。
しまったな、とあとで思ったのは、そこでほめなかったことです。
何をしたかといえば、ひとりで勝手に感心してました……。
恥ずかしがるかもしれませんが、他の子たちに「こういう工夫もあるよ!」と紹介すれば、見せ場のような瞬間をあげられたのかな、と思います。
そういえば、過去にも子どもが工夫して2in1を跳んだときがありました。
なんだかんだで、まだ語ってますね。でも、常に全員に語りかけられるわけではありません。目が届かないところで、子どもは自分たちで考えているのでした。