とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

395 横上げTJは高度な手抜き

今回は「TJのこと」。

足を横に上げるTJがあります。

最初に見たのは、香港の選手の演技だったと思います。最近は、香港の選手以外にもこのスタイルで跳ぶ人は出てきてますね。

僕がこの「横上げTJ」に持っている印象は、1つは、見るからに上手だなということ。そしてもう1つは、手抜きっぽく見えるということです。

「手抜き」はもうちょっと別の言い方がないものかと思うんですが……。理由も含めて、2つめで書きます。まずは1つめ。


簡単に跳んで見えるので上手に見える。

印象の1つはこれですね。

手抜きという言葉の選び方にも通じるんですが、横上げは足の上げ方が簡単そうで軽く見えます。この見え方、普通のTJでまっすぐ足を上げないと跳べない人からすれば、「こんなにたやすく跳べるのか → たやすく跳べるほど上手なのか」と思えるわけです。

そもそも、意図的に横上げするメリットは(想像込みで)2つあって、

・まっすぐ足を上げるよりも体がラク
・上げた足に手やグリップが当たりづらい

負担面と技術面、疲れの軽減とミスの削減、といったところでしょうか。

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特に、技術的な部分は、僕自身、よく実感できます。TJでトードからOに開くときに、上げた足によくグリップを当ててしまうので……。足の上げ方が低いとか、グリップが上を向きすぎとか、原因は別にあるものの、横上げだとそうした接触を回避できるのはたしかです。

ただし、横上げだと「トードで手を入れるスペースが小さくなる」という問題はあります。実際やってみると、ある程度限定されたスペースで手を通すには技術力がいります。そういうところでも、上手な印象を受けました。


一方で、気になるのは見た目はどうかという点です。これが2つめ。

TJが見た目にもいい技だと言われるのは、上げた足がまっすぐ前に伸びている姿に美しさがあるからではないでしょうか。横上げだと、その点が非常に手抜きに見えてしまうのです。

自分が競技に身を置いていないから、そう感じるのかもしれません。

上に書いた横上げのメリットは、疲れにくく、ミスしにくく ―― と、競技で特にメリットになる部分です。75秒で他にもいろいろ技を入れる中で、足をまっすぐ上げても軽く横に上げてもレベル4が取れるなら、ラクに取れたほうがいいに決まっています。

選択としては何も間違っていません。合理的、省エネと言えます。

競技での見た目は、プレゼンテーションの部分でどう評価されているのか、という話になると思いますが、もし評価が低いなら今ごろ横上げTJはなくなっているはずです。なぜかと言えば、ジャッジも選手も競技が終わればなわとび仲間で、まずい部分はまずいと伝わるだろうから。

リザルトの詳細まで伝わるのか知りませんが、やめたほうがいいことはルールなり横のつながりなりで広がっているでしょう。それがないなら、横上げTJは一定の評価を得ているということです。(たぶん)


それでも、良くも悪くも「軽い」印象は残って――。

これは僕がTJに爽快感を求めているからでしょうね。上で書いたように、競技なら横上げをする合理性のほうが理解できるので仕方ないと思いますが、横上げ自体には、TJのイメージ(あくまで自分の)から肩透かしをくらうようで、どうにもなじめない部分があります。

この、上手ですごいと思うのに、微妙に物足りなさを感じる状況……。

最小限まで洗練されたものこそ美しいという感覚があって、横上げがそれに当てはまるなら、自分の感覚が追いついていないのかもしれません。