とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

092 魅力と無力のなわとび台

今回は「なわとび台のこと」。

1月に入ってから、いよいよなわとび台が登場しました。

去年(昨年度)は12月には運動場のすみに置かれていました。なんで覚えているかといえば、忘れもしない13日の金曜日に、なわとび台で腰を痛めて早退したからです……。

「なんでなわとび台で跳ばないの?」と子どもに聞かれ、1年前のケガのことを話したら「トラウマなんだ」とあっさり言われた僕が、なわとび台を見ていて思ったことを書きたいと思います。

……それにしても、小3でもトラウマって普通に言うんだな……。


なわとび台は人気者だと改めて思いました。

今年も12月になわとびが始まって、子どもと跳んでいました。ただ、なわとび週間ではないので、跳びたい子が玄関のへんで跳んでいるだけ。10~20人くらいだったでしょうか。

それがなわとび台が出たら一気に50人越え。今までどこにいた!(笑)

人気の秘密は、とにかくもう、「高く跳べる」からですよね。地面の上で跳べる限界を突破して、真上に体が跳ぶ感覚。それだけでも台の上で跳ねたくなります。いつもより余裕で2重跳びができればなおさらでしょう。

なわとび台は、足の力でジャンプするというより、足でなわとび台の板を強く踏んで、下に曲がった板が上に戻る勢いをもらって跳ね上がる仕組みです。ジャンプするのは、上に跳ぶためというより、ジャンプして着地する力がより強く板を下に曲げて反動をつけられるからです。

このへんがわかっている子は、すごく軽々と跳びます。跳べば跳ぶほど高いところから落下して、勢いよく板を曲げるんですから、できる子ほど高く跳べるわけです。

とはいえ、板が曲がるのにも限界があります。曲がる範囲は、板と地面の空間までか、板そのものが耐えきれるまででしょう。なので、空高くまで跳んでいってしまうことはありませんが(笑)、結構な高さで3重跳びする子はいます。

普通に乗っても体が跳ねるのに、ものすごく跳んでる子を見たら、もう魅力バツグンです。魅力のかたまり! なのですが……。


その魅力が、子どもを無力にしているとも思います。

なわとび台は、本来は跳ぶ感覚をつけるための道具です。ジャンプ力の足りない子が、空中で縄を回すのを体感するのに役立ちます。

ただ、上に書いたように、高く跳ぶにもコツがあるのを忘れてはいけません。ここに気づかず、「自動的に大ジャンプができる!」とカン違いしてしまうと、タイミングも勢いもバラバラになってしまいます。へたをすれば、「なわとび台ですら跳べない」ことで、なわとびをあきらめるきっかけになりかねません。

その他、フォームが悪くてもなんとか跳べてしまうので、あまりきれいに見えないまま慣れてしまう子。フォームはそこそこでも、「高く跳べる」道具だと思って、ひたすら大技のみ追求してしまう子。

どれも共通しているのは、魅力に踊らされている姿です。道具を使うのではなく、「道具に使われてしまっている」姿。

もうすこしいろいろできると思うんですよね。でも、いやでも跳ねてしまうから、考える余地なくとりあえず跳んでしまうという……。できる技だけ追求したほうがラク、という気持ちも出てしまうのでしょう。う~ん……。

なわとびは、冬場の運動なので、フォームが悪かろうが、がむしゃらな挑戦だろうが、運動する機会になっているのはたしかです。むしろ、学校では、それで目的は達成されています。

人並み以上になわとびについて考えてしまう人の、ぼやきなのかもしれません。


でもですね。「本番」でなわとび台は助けてくれません。

なわとびカードは地面の上で検定するという現実。

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地面と台を往復しながら、ただ跳ぶだけじゃなく、跳べる方法を考えていってほしいですね。

なわとび台で跳べる姿だけが、自慢の技じゃないはずだよ。