今回は「前のこと」。
「前に送り出す」ことが、縄を回す途中で必要だと思います。
前回の話で、交差で手を体に引きつけすぎたときのデメリットについて書きました。縄に急に角度がついて、足に当たりやすくなるという問題です。
これは、縄の軌道が手前に来すぎてしまう、ということでもあります。
手を下に向ければ、縄の軌道も下がって足の下を通りやすくなるのかもしれません。でも、縄の軌道が手前に来すぎている状況は変わりません。足の下を通せる角度に変えただけです。
だとしたら、縄をもうすこし向こう=前方に送ればいいのではないでしょうか。
縄の軌道に余裕を持たせるわけです。
こうすることで、縄が急な角度で手前に飛びこんでくるのを防げます。イラストのように、体の前で力を入れる「前」に縄を前方に送る、という、時間的な意味での「前」でもあります。
この軌道なら、手を下に向ける余裕も、作れそうですよね。
前々回、373で、なわとびYoutuber の Hiroさんのあやとび解説動画を参考に書いたとき、「すこし前にふくらませるように回すこと」をポイントとして書きました。
交差の縄に曲線(ふくらみ)を持たせることで、縄がピンと張りすぎるよりも足の下に余裕を持てる、という意味で使った言葉です。これは同時に、「手を引きすぎても縄が通る空間を作れる」という効果も見込めます。
もちろん、手を引きすぎないことは大切ですが、縄が前に送られていれば、「手を引く余地」が増えているわけで、すでに、ムリに手を引かなくてもいい状態に持っていけているはずです。
ただし、腕ごと前に送るのはよくないでしょう。
あくまでも前に送られるのは縄です。腕を伸ばしぎみだと、たとえば手を下に向ける動きをつけづらいですし、何より見た目がよくありません。
最初だけならいいのかもしれません。縄を手前に引きすぎて、いっこうに縄が通らないよりは、通せる位置だけでも腕を伸ばして知るのも、ステップの1つだと思います。
ただ、その感覚を知ったら、なるべく早めに、同じことを腕を伸ばさずにできるようにしたいですね。「縄が通ればいい」で満足してしまうと、いつまでも腕を伸ばしたフォームになるので……。(自分がまさにその例です)
この理屈は、リリース、キャッチでも同じです。キャッチの位置に余裕を持たせるために前に縄を送ったり、それをなるべく小さな動きでできるようにしてみたり……。ここは、次回に回します。
さて、本当に「縄を前に送る」ことが正解なのかはわかりません。
手や縄を体に引きつけすぎる人はどうしたらいいか? という問題から考えた一種の理想論です。実際やってみると、前の余裕ができる反面、多回旋で縄の勢いをつかめなくなる場合もあります。逆に、勢いをつけられる人なら、縄が遠くに回るぶん、より勢いがつくのでしょうか。
他の技術同様、使い方はいろいろですね。
体に近い位置で回せるなら、この話はあまり必要ありません。小さな動きで大きな効果を生んでいるのですから、すでに理想に近いと思います。