とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

383 空中のバランス

今回は「支えのこと」。

空中で人は動けないなと思います。

前回書いた、サイドスイングから次のフォームへの流れは、縄を意識して感じられる瞬間が増えてきました。でも、次のフォームに入ると途端に不安定になります。

サイドスイングのあとは、ほぼジャンプして空中――。当たり前の話で、跳べば支えるものがなくなるから動けないのです。


気づいたきっかけは、『バキ』という格闘マンガ。

シリーズをずっと読んでるんですが、第2部にあたるこの作品、10年以上も前のものなのに、なぜか昨年後半にアニメ化されました。その影響で感想サイトとかいくつか読みました。

その中の、毒を受けて衰弱した主人公の刃牙(バキ)が、中国の地で対戦した相手を持ち上げて見せたシーンの感想。持ち上げられた相手は足を浮かせたまま刃牙を攻撃しますが、刃牙は涼しい顔。

「人は浮いたら力が半減するよね」みたいな感想があって、ピンときました。

たとえば椅子に座って足を浮かせて、それっぽく再現してみるとどうでしょうか。たしかに力の伝わり方が今ひとつです。足という支点がないからです。

ボクシングって……
大地を蹴る格闘技なんだ

     ―― 板垣恵介『バキ』(秋田書店

僕は運動経験が少なかったので、足の踏み込みがどれだけ意味を持つのか、『バキ』のこのせりふで初めて納得したのを覚えています。


なわとびも大地を蹴る運動です。

蹴って跳びます。でも、その勢いを回す力やフォームの変化に乗せるのは難しい。だから冒頭で、空中で動けないと書きました。

そもそも、ふわっと跳んだだけだと、力を入れづらいです。

子どもでも、ジャンプはぽんと跳ぶものの、そこから縄が回らない子をよく見ます。今のシーズン、運動場で跳んでいるのを見ると、必ず1人はいます。

「早く跳びすぎ」「縄が追いついてない」 ―― 指摘するのは簡単ですが、その指摘、どこまで的を射ているのか?

早く跳んでもいいのです。跳び上がる瞬間、縄を回すために上体を足が支えていれば。
縄が追いついてなくてもいいのです。空中で体幹を締めれば回せるようになります。

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理想論も入っているかもしれませんが、「支える」という視点を持てば解決する問題ではないかと思います。


思えば、僕は「サイドスイングで体が残る」タイプです。

本当はサイドスイングが地面を打つときに跳んでないと、サイドスイング付きの多回旋の成立とは言えません。でも、サイドスイングを回す勢いでバランスを崩しがちだったので、だんだん地に足をつけてサイドスイングをするようになってしまいました。

足にしても、体幹にしても、体を支える。
そうすれば、サイドスイングしながらでも跳べて、空中でもフォームを作れる。

忘れかけていた感覚を呼び起こされた気がします。