今回は「手首のこと」。
「手首で回す」はあまり言わないほうがいい。
プロのかたがこう書いてるのを見て、僕もブログで一時期、テーマにしたことがあります。縄をうまく回せない段階でこれを伝えてしまうと、余計に回せなくなるから …… という話だと思って書きました。
自分の経験や考えを入れて書いたものの、基本はプロのかたの意見に相乗りした感じでした。それもあってか、だんだんと、技術の話で手首をクローズアップするのが悪いことであるような感覚になっていた気がします。
ところが最近は、手首を使った回し方をするとうまくいく場面が増えています。子どもと2人とびをするとき、子どもの足に当たらないように縄を下げようとすると、最後は手首で持っていかないと縄が下がらないとか、SS始まりの技だとか、リリースの1回転目とか……。
タブーめいていたり、うまく使えたり、この違い、なんなのでしょう?
考えているうちに、とても当たり前のことに気づきました。
手首のアドバイスが必要な場面は少ない。
アドバイスが生まれるときって、基本的にどこかができていないから、アドバイスが必要になるのです。では、「手首で回そう」が必要な場面はどれくらいあるのか?
ないことはないでしょうけど、意外と浮かびません。それよりもっと初歩的なアドバイス ―― たとえば、縄がふにゃっとしないように大きく回そうとか、タイミングが合っていないので縄が回ってくるまで待とうとか、先にそういう声かけが必要なシーンが浮かびます。
実際、学校や児童館で記憶に浮かぶのはそういうシーンです(うまくアドバイスできていたかは別ですが……)。改めて考えてみると、手首を使って的なアドバイスって、一度も言ったことがないレベルで記憶にありません。
でも、手首はムダなアドバイスではありません。
使えればこのうえなくうまく回せますし、動きもラクになります。最初で例にあげた、子どもとの2人とびでも、「跳ばせるための最後の一工夫」として使うと便利だと、最近になってようやく気づきました。
前回の話でも手首を出したんですけど、まずは必要な技術が身についたところで、最小限の力で回すときに手首は使えるようになるのだと思います。
たぶん、その段階までうまくなった子は、自分で気づいて手首を使うようになっていく気がします。これはつまり、アドバイスをほとんど必要としてないということで、言おうとしても言う機会が少ないから、手首のアドバイスが必要な場面は少ないのではないでしょうか。
手首のアドバイスが役に立つのはなわとびに慣れた人、ということですね。
繰り返しますが、手首はムダなアドバイスではありません。
以前、黒野寛馬さんのあやとび解説動画を紹介しましたが、「手首のスナップ」という表現が僕のお気に入りです。うまく実践できているかどうかは別として、あの言葉を動画で見たときの「うまくなれる感」は、とてもわくわくしました。
手首という条件でファインダーをのぞいてみると、案外必要としている人が少なくて、ムリにアドバイスに使っても、場に応じた言葉にはならないかもしれません。でも、必要な人がいないというわけでもないのです。
ピンポイントで見つかれば、堂々と生かしてもらえますし、動画のように広くチャンスを作って、見つけて喜んでもらえます。
必要なときには、手首にも出番を……。