今回は「EBのこと」。
SEBCの回し方を考えていたら、問題はまずEBだった。
前回はこんな話でした。EBをちゃんと回せれば、縄をとらえることができて、次の縄の動きも作りやすい。だから「まずEB」なのである ―― とそれっぽく書きましたが、実はEBの入り始めはけっこう引っかかりやすい部分です。
特に多回旋で力を入れると、いきなり引っかかることはよくあります。縄の軌道がずれるからです。力を入れすぎて縄をコントロールできなくなって、通したい足の下よりもずれた軌道になるわけです。
この手のミスの原因の1つは、「縄の引きすぎ」だと思います。
2月に、縄を引きすぎるのはよくない話を続けて書きました。EBでも同じ理屈が当てはまります。回せないから引っぱる。引っぱるから軌道がずれる。さらに気づいたのは、腕を引きすぎれば動きまで制限されることです。
今の2点をまとめると、こういうことです。
EBの場合、前後交差の前の腕(イラストなら右腕)を大きく引けば、縄が後ろに行きすぎて、足の下を通せる軌道になりません(イラスト左)。右腕を左側に引っぱっているので、縄が左にそれて足に当たる可能性も十分あります(イラスト中)。
つまり、前の腕を引きすぎると、前後・左右で軌道がゆがむのです。
これは交差に慣れていない子と同じですよね。腕をバッテン状態で回せなくて後ろに引きすぎる、交差しても片手だけ強くて縄が横にそれる……。普通の交差(C)か前後交差(EB)かの違いだけで、問題と結果はそっくりです。
もう1つ、動きが制限される点について。
人間、関節がどこまでも動くわけではありません。EBでもそうで、この場合は肩関節やひじ関節です。特に、上の話のように縄を引っぱるために腕を大きく動かすと、肩をかなりよじることになります(イラスト右)。
実はこれ、「わきをしめる」状態に似ています。わきをしめるから腕を動かしづらく、回しづらい。手首周辺はまだ動きますが、これは慣れていない人前提の話。うまくは縄を回せないでしょう。
となると、縄の引きすぎを避けるためにはどうすればいいのでしょうか?
体の前へ回すことだと思います。前に縄を送れないから引っぱってしまうのではないか、という見方です。
縄を引かないように …… の話で、「縄を押す」と表現しましたが、EBでも、縄を前に送ること、そして、そのために後ろから前に縄を回す部分も意識するのが大切になるかなと感じました。(もちろん、最後は足の下を通すのが目標です)
合わせて、前の腕のきつさ(制限)が減ることで、SEBCを回しやすくなります。
SEBOならOに入るときに前後交差の前の腕を開くので、ある意味、制限を振り払うように開く動きになります。ところが、SEBCになると、前の腕の位置はそのままにCを作るので、へたをすると前の腕がほとんど動きません。
背中から回してくる腕だけでCを作ろうとすると縄が反対側へそれてしまいがちなので、あまり動かない前の腕もサポートで動かす必要があると思うのですが、前の腕を引きすぎて動きが制限されていると、それもままなりません。引かない動きは、そういう部分でもメリットがあると言える気がします。