■ 回す順番ではやぶさも跳びやすくなる?
今回は「あやとびのこと」。
最近見た動画で、驚いたのが生山ヒジキさんのはやぶさの動画です。
OCですよ。何が驚いたって、はやぶさの見本で「開く → 交差」(オープン → クロス)タイプのはやぶさで跳んでいることです。
・OC:「開く → 交差」(オープン → クロス)
・CO:「交差 → 開く」(クロス →オープン )
どちらもはやぶさですが、自分の中では、はやぶさの基本はCOタイプなのが常識になりすぎていて、OCタイプで見せるんだ、と意表をつかれたのでした。
ここを皮切りに今回の話をまとめると、次の3つです。
・COが自分の中で常識なのは、はやぶさの前にあやとびがあるから?
・OCがいいのは、「予備回旋」があるから?
・そういえば、あやとびで「O → C」ってアリなの?
はやぶさはCOタイプが一般的だと、ずっと思ってきました。
自分が子どものころ(もう30年前になりますが……)はすでにそうでしたし、今も学校で大半の子がCOタイプで跳びます。なぜこちらが主流になるのかといえば、あやとびがその順番だからじゃないか ―― と普通は考えます。
さらに詳しく言うなら、はやぶさの説明が、「1回跳ぶあいだにあやとびを一度にやってしまう技」だからでしょう。では、そもそも「あやとび」って?
普通に手を開いた跳び方(O:オープン)ができた子が次に挑戦する技の1つが、交差(C:クロス)です。あやとびは、その交差を開いて、もう一度オープンに戻す跳び方。順番は、「C → O」です。僕はずっとこれが「あやとび」です。
これを1回跳ぶあいだにCOと2回連続で回すとはやぶさCOタイプ。これも、2重とびをできた子が、次に挑戦する技の1つです。O、Oと1回ずつ跳べた子が、C、Oとあやとびするように、1跳躍でOOの2重とびができた子が、交差の入ったCOの2重とび、つまりはやぶさをする流れというわけです。
ところが、ここに1つ、COタイプの難しさがあります。
最初の交差を通せないのです。
はやぶさに挑戦する子は、そんなに余裕で2回縄を回せるレベルではありません。勢いよく、というより、力ずくで最初の交差を回します。最近書いていた腕の引きすぎの話のとおり、それでは縄も引っぱられすぎて、回る前に足に当たってしまいがちです。
ここで順番を変えたOCタイプ。
最初に普通の回し方(O:オープン)が来るので、1回旋目はなんとか通せます。あとは着地までに交差(C:クロス)を通すだけ。最初の交差が難所なら、やりやすい順番(O → C)に変えてしまえばいいというわけです。
これ、実はあやとびがそうなんですよね。いきなり交差に入るのではなく、2~3回前とびをしてから交差に入る教え方があります。2~3回の前とびで縄の形を作れたり、リズム・タイミングを合わせることができるのです。
言ってみれば「予備回旋」。予備回旋という言葉はともかく、そういう教え方をしている動画や解説ページをいくつか見ます。はやぶさの見本で、OCタイプが選ばれる理由は、このあたりにあるのかなと思います。
さて、最後に、それならあやとびも「O → C」で跳んでもあやとびなのか……?
上でも書いているように、僕はあやとびは「C → O」で1回だと思ってきました。子どものころから、「O → C」であやとびを1回と数えるのはあまり見たことがありません。OCタイプのはやぶさが珍しいと思うのも、元をたどればこの感覚から来ている気がします。
ところが、以前似た話題を出した 183 1をつかむ話 で粕尾将一さんの書いたあやとびの数え方の話にふれているのですが、例の1つが「「前回し→交差回し」のセットで1回」になってる……。
案外、こっちのほうが主流だったのでしょうか。1セットになっていれば、順番はどちらでもかまわないと。跳びやすさに着目したら、OCタイプが主流になっていくかもしれませんね。