今回は「空中感覚のこと」。
といっても、バランスの話とはちょっと違って……。
たとえば4重とびで、1~4回縄が回るとき、体はどの位置にあるのでしょう?
単純に考えると、跳びあがりながら2回、着地に向けて下りながら2回だと思っていました。比率で言えば、 上:下 = 2:2 で半々です。
ところが、これを見ると 3:1 っぽいのです。
10回以上跳べるかたがスローで何回も見せてくれています。跳び方をながめているうちに、だいたいジャンプの頂点までに3回、下りながら1回で4重とびになっていることに気づきました。3回旋目はわずかに下降に入ったところになっていますが、大切なのは 3:1 に見えたこと。
自分のぎりぎり4重とびだと、「跳びながら2回、下りながら2回(しかも最後がぎりぎり)」なのを体が覚えてしまってます。だいぶ違いますね。
違いはおそらく、回す速さとジャンプ力。跳びながら3回も、速く回せる・高く跳べるからこそでしょう。僕の場合は、どちらも足りずに、3回旋目はすでに落下の途中です。
ただ、本当にそこがゴールで答えなのか……?
「跳びながら3回」を目標にできないでしょうか。
つまり、ジャンプの頂点までに3回。
大きな違いは、1つのジャンプを分けて考えていることです。ぎりぎりで跳べているときは、「跳んでいるあいだに4回通ればいい」としか思っていません。ジャンプ開始から着地直前までの大きな枠でしか、ジャンプをとらえられていないのです。
頂点までに3回と考えると、ジャンプの前半でどう回すかに焦点がしぼられます。より深く、回し方・跳び方を考えられるのです。
技術的には、前回・前々回で書いたような速く回す技術が、ここでもいかせないものか……。あれも、縄をとらえるとひと口に言っても、グリップも合わせて回せているかとか、過去に書いた話が連動して浮かびます。そういう視点が「頂点までに3回」に向けて生みだされるだけでも、1つの進歩でしょう。
もしそれが、たとえ 上:下 = 3:1 に届かず、 2.5:1.5 にしかならなかったとしても、着地までに 0.5回転分の余裕が生まれるわけで、ぎりぎりで、ある意味危険な着地からすこし抜けだせます。
大技って、技のラストを見れば、最後の1回旋に必死になりながら着地もしないといけないので、危険ですからね。
こういうのも感覚の練習でしょうか。
回しながらの空中感覚、位置認識。跳ぶ流れにある自分の「姿」をイメージすること。ざっくり言えば、「どういう動きをしたいか」の話ですが、「ジャンプのこの時点でここまで回す」という目標の立て方は、高く・速くの大ざっぱな目標よりはめざしやすいと思いました。
ちなみに、5重とび以上だとスローモーションをつけている動画も多くて、それくらいになると、頂点までに 3.5 ~ 4.5回あたりまで回しています。「上限」はあるにしても、まずは「頂点まで」をめざすのがよさそうですね。
これは、子どもが2重とびや3重とびに挑戦するときにも目安になると思います。