とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

538 矢印2つが駆けめぐる

■ 縄を伸ばす力、手もとで引く力

今回は「遠心力のこと」。

この時期、子どもになわとびを教えていると、遠心力ってなんだろう? と思います。

今は低学年の子を教えることが多くて、2重とびに挑戦する子もたくさんいます。跳べない子の多くは縄がふわっとしていて、回しきれていません。縄がピンと張っていなくて、これはつまり、遠心力を使えていないわけで――。

と言っても、低学年の子に「遠心力」と伝えてわかってもらうほうが難しい話です。そもそも、自分がどれだけ遠心力のことをわかっているのか?


僕のイメージでは、縄が遠くに張るのが遠心力です。

ブログでイラストを書いてきたせいか、こういうイメージでは、きまって矢印が頭に浮かびます。遠心力なら、縄の先端に向かって、力や勢いを示す太めの矢印が伸びています。

でも、いざ遠心力を考えてみると、矢印(力)はそれだけではありません。

手もとへの矢印、つまり、逆に手もとに引っぱる力(止める)力もまた生まれます。ただ縄が向こうへ放られるだけの力なら、縄は飛んでいってそのうち失速して地面に落ちます。そうならないのは、手がグリップを持って、縄がピンと張るところまでで止めているから。

縄が向こうへ行く力と、手もとで引っぱる(止める)力がつりあって、縄はピンと張っているのです。

イラスト:左:縄を向こうへ回す女の子の後ろ姿。縄の回る方向に矢印と「縄が向こうへ伸びる力」の文字。グリップを握る手には小さく引く矢印と「」手もとで引く力」の文字。 右:縄を四方へ回転中の姿を横から。矢印も、縄の伸びる方向と手もとで引く方向にそれぞれ描かれている。下部に、2つの矢印の足し算が書かれ、足し算の答えとして「ピンと張って回る力?」の文字。

手もととその先に矢印が見える?

あんまり引っぱりすぎると、今度は縄が自分に向かってきます。これは何度も書いた、縄の引きすぎですね。跳びはじめで力を入れすぎて、縄が向こうに行く力よりも、自分の体側へ引っぱる力のほうが強くなりすぎて、足に当たってしまうわけです。


この繰り返しが、縄の回転です。

右のイラストですね。失速せずに回るというのは、こうやって、全方向に伸びる力と引く力が釣り合いながら縄が回転することのかなと思いました。

描いてみると大げさですし、ほんとにこれが(物理的な意味で)縄の運動なのかあやしい話でもあります。大切なのは、もしこうだとしたら、自分が回せていないのはどのあたりか? という発想ではないでしょうか。

結局そこでも、縄がピンと張っているかどうかが、回せている・いないの基準になるかと思います。そう考えると、最初に書いた「うまく回せない子」は、縄が張るところまで縄を遠くに伸ばせていない子ではないか? という考えに行きつきます。


大きく回す。片手で縄が伸びるまで回す。

回し方のコツで、単縄を始めたころからときおり見るアドバイスです。今思うと、これは遠心力をつけるための「魔法の言いかえ」なのかもしれません。

うまく回せない子は、縄を遠くに伸ばせず、手もとで引っぱる段階にもたどりついていないのだとすれば、とっかかりは縄を伸ばす力、そして手もとで引っぱる力で縄を張らせること。このへんが流れになってくるように思えます。