今回は「回し方のこと」。
「なんか引っぱっちゃう」
3重とびに挑戦していた子が、あるとき口にしたことです。たしかに、だんだんと縄を引っぱっていました。跳べているわけでなく、そのまま足に当たって終了 …… のまま、3月も終わって次の学年が始まろうとしている今現在です。
前回、空回りについて書いてみて、手の動きが小さくなりすぎて回せなくなるから、空回りになってしまうのではないか? とまとめました。
この子も、2重とびやはやぶさならギュンギュン回せますが、2回旋で終えることに慣れすぎていて、3回旋目が回せていません。前回の推測が正しいなら、手の作る円が、2回旋で小さくしぼみきっていて、手を動かす余地がないからです。
2重とび(=2回旋)ならそれで回し終わりですが、3重とびはもう1回旋必要。でも手を動かす余地がなくて回せない ―― やっぱりこういう状況に見えます。
ところがここで「引っぱっちゃう」が出てくるところに、また別の空回りが生まれます。
一言で言うなら、「軌道が変わると回しづらくて空回りする」です。
前置きどおり、この子はまず、回せません。「引っぱっちゃう」のは、それをどうにかしようとして縄にアクションをつけようとするからだと思います。
ここで言うアクションとは、勢いのこと。回しきれないので、力を入れようとします。そんなとき、ひとまず力を入れたくなるのが体の前から足の下。力を入れやすい部分でもあるここで勢いをつけようとすると、「引っぱっちゃう」わけですね。
縄を引っぱるデメリットは、今まで何度も書きました。主に、軌道が変わってしまう危険があるからです。引っぱると、
・縄が斜めに足もとに飛びこんできて、足に当たりやすい。
・腕が後ろに行くことで縄の軌道も後ろに下がり、体の前(結局は足)で当たりやすい。
こういうリスクが生まれます。
空回りの視点でこれを見ると、こうやって軌道が変化した縄を、とらえられるかどうかが問題になってきます。
特に、2重とびから3重とびで「回し方が変わってしまった」とき。
なわとびの上達って、安定して同じ回し方ができることだと思うんですが、2重とびができるようになった子は、これなら跳べるという回し方を覚えたはずです。ところが、3重とびのために回し方をどうにかしようとしたとき ―― 今回なら引っぱってしまったとき、そこまで安定していたはずの回し方(=軌道)が崩れるのです。
軌道が変わるから、2重とびのときのような回転すら作れない。その軌道では縄をとらえられずに、空回りしてしまう。こういうことだと思います。
じゃあどうすればいいのかというと、まだぱっとは浮かびません。
軌道を変えないということは、普通に回すこと……? つまりは前回のように最初は手もとで大きく円を作って、大きく縄を張ったところからスタートして回しやすくする動きが浮かぶのですが……。
空回りを防ごうとすると、行きつく先が決まってくるのかもしれません。