とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

549 でこぼこ

今回は「解説のこと」。

今ならわかるけど、あのころの自分にはわからなかった。

前回、リリースの海外の解説動画を見ていて、感じたことです。僕は、単縄を始めて数年近くリリースがまともに回らなくて苦戦してました。当時、海外の解説動画も見た気がするのですが、今ひとつ理解できませんでした。

今はわりとわかります。「一定のスピードで回す」とか、「体から離して回す」とか、複数の動画で共通して言っていることがあって、回せるようになった今なら、たしかにそのとおりだとわかるのです。自分が回しているイメージで、頭の中で再現できるからでしょう。

でも、当時の自分にはわかりませんでした。


人には得意・不得意があって、よく「でこぼこ」と表現されます。

なわとびでも、当然人それぞれ「でこぼこ」があって、自分のイメージでは、上手な人は技術が「突出」している感じです(凸:でこぼこのでこ)。一方で、うまくいかなかったり技術が足りなかったりする「へこみ」(凹:でこぼこのぼこ)をうめることがアドバイスなのでしょう。

上手な友だちと練習していたころ、僕のつたないリリースをよく見てくれました。ある限りの言葉でアドバイスもくれました。なぜか半回転ズレる原因を、一緒に考えつづけてくれました。でも、僕のへこみはうめられませんでした。

なんとかなったきっかけは、韓国ロープをインドロープに変えたときです。縄の重さが変わっただけで回転が安定するようになりました。「縄が軽くてとらえられなかった」、この原因にたどりつくまで、冗談抜きで5年かかりました。

―― 本当は、友だちのアドバイスでへこみを直したかった。

今でも、自分の感覚のせいだったのが残念です。結果としてうまくいっても、友だちのアドバイスを「届かない言葉」にさせてしまったのですから。


へこみって、どうやったらうまくうまるのでしょう。

砂を流しこめばへこみは一見なくなります。でも、傾ければ流れ落ちて、またへこみが現れてしまいます。必要なのは、ほぞ組みのように、そのへこみに合った「型」をはめこむこと。実際に見て個別にアドバイスをするのがそれに当たります。

もちろん、なわとびなら、相手のへこみ(技術的に足りない部分)がわかって、型(跳べる・回せるために必要なアドバイス)を伝えられることが大前提になります。コーチがお金を取れるレベルなのは、これがあるからでしょう。


ブログで技術についてあれこれ書いてきました。

書き残しておけば、だれかの「へこみ」をうめられるかもしれない。そんな確信のない期待を、簡素な飾りのようにつけて投稿しています。ピンポイントでへこみに収まるものではありません。ただ、「できなかった」自分が「できた」に近づく話として、価値を見いだせたらいいなとは思っています。

一度は過ぎ去ったアドバイスでも、せめてあとになって、やっとわかったよと感謝できるように……。

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