とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

552 正しく怖がるってなんだろう

今回は「恐怖のこと」。

後ろ2重や後ろはやぶさで身をすくめる子をよく見ます。

顔に当たるのが怖いからですね。

ここで3つに分けたパターンをわかりやすいと言っていただけたことがあります。追加するなら、縄を上に回しきれなくて顔近くに飛んでくるパターンが4つめになるでしょうか。

いずれにしても、「何がいけないか」が見えているので、回し方を直していけば、だんだん顔に当たらなくなっていきます。ただ、実は今回は技術系の話ではありません。


コロナで、「正しく怖がる」という言葉が散見されるようになりました。

ざっくり言うと、「正しい知識で予防しよう」でしょうか? あやふやなのは、何が「正しい」のかはっきりしていないからでしょうね。正しさの基準が人それぞれだから、考えが食いちがってきます。方々でトラブルが起こるわけです。

後ろ2重や後ろはやぶさを、顔に当たるのが怖いから跳ばないと言いきる子どもに、たまに出会います。挑戦しないと言っているのも同然です。ほんとは跳んでみたいけど、縄の痛みが怖くて踏みだせないケースが多いように思えますが、こういうのって「正しく怖がる」とはすこし違うような気がします。

顔に当たるのが怖いのは、理解して怖がっているだけ。その先にある、ほんとは跳んでみたい気持ちにうそをついている状態だと思うのです。だって、たいていは上で書いたように、乗りこえられる可能性があるのですから。(ただし、そのやりかたを示せる人は必要かと思います)

ちなみに、なわとびにそこまで興味がなくて、痛い思いをするくらいならやらないと割り切るのも、1つの考え方でしょう。なわとびに挑戦しない代わりに他のことに時間を使う、くらいの姿勢で前を向いているなら、「正しく怖がる」だと言えるのかもしれません。


学校のなわとびは、昨年、コロナを理由にだいぶカットされました。

8の字は密集しがちだし、声も出しあう(例の「ハイ! ハイ!」)からダメ。つまり長縄中止も同然。短縄でも、クラスマッチはやらない。 ―― もう、先生たちは余った時間をどうしようか悩んだみたいです。なわとびネタのある僕は、たまに呼ばれてお助けになれたみたいですが……。

実際、そこまで「怖がる」のが「正しい」方針だったのかはわかりません。仮に感染が発生すれば、細かく活動が調査されるし、議論にならないテンションで苦情が来るかもしれない ―― みたいな雰囲気はありました。

個人的には、これもまた正しい怖がりかただと思っています。昨年もクラブをやらせてもらいましたが、8の字中止に合わせて、ダブルダッチも途中で中止にしました。正しい判断というより、「自信のある正しさ」を出せない、責任を取れない、が本音でしょう。


最後にオリンピックで思っていること。

強行した場合、選手が「オリンピックを語るための素材」として消費されてしまう未来図が浮かびます。物語なら、見てほしいのはそこじゃない、とモノローグが書かれそうな場面。こんな予測にどう向き合うかもまた、正しく怖がることだと思います。選手と大会を切り離して語るタイミングがあるとしたら、どういうときでしょうか。

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