■ 糸通し型リサイクルの難しさ
今回は「縄のこと」。
ビーズロープは、縄の切れ端問題の1つの答えだと思うのです。
80個くらいのビーズをつなげたロープなので、いわば「もともと切れている」ようなもの。割れたりすり減ったりしても、そのビーズだけはずして、新しいビーズをつければいいのです。ビーズ = 切れ端に置き換えれば、まさに切れ端の集合体。
これ、切れ端問題解決のヒントがつまっているように思えるのですが……。
ひとまず「つくり」を見ると、すぐ気づくのが、ビーズとビーズのあいだに見えるひも。たくさんのビーズを1本の縄にしている、ビーズを通しているひも部分です。
韓国ロープやアメリカロープも、中に繊維が通っています。
切れても縄がつながっているのは、この繊維のおかげ。それなら、ビーズロープのように、繊維さえ無事なら、いくつに切れても「1本として」つながっていそうなものですが、そうは問屋がおろしません。
そのまま回し続けていると、切れた部分がだんだん広がってきます。何が起こっているかというと、グリップ側でビニールロープ部分が引っぱられているのです。切れた部分を中心に、繊維を残して「縄だけ」引っぱっているわけですね。
切れて繊維でつながった縄を、左右に引っぱったらどうなるかを想像するとわかりやすいでしょう。縄はカバーみたいなものです。内部の繊維だけ残して縄が左右に抜けていって、最後はするっと全部抜けてしまいます。
ビーズロープはビーズが抜けないように、手もとでひもに結び目が作られています。そうでない韓国ロープは、いったん縄が切れてしまうと、すこしずつ繊維が縄から抜けてしまう構造なわけですね。
ここ、縄の切れ端を再利用して1本にしたいときの新たな問題になります。
韓国ロープみたいに1本の糸を通してつなげて、「リサイクルロープ」を作るにしても、結局そのつくりだと、端から内部の糸が抜けてしまうのです。それだけ、縄が外側へ回される力 = それにつりあう手もとへ引っぱる力が強いということです。
だいたい、切れ端をいくつも糸で通すのが難しそう……。仮に韓国ロープの内部の穴を使うにしても、どうやって細い穴を2m近くも通していくのか。やわらかい繊維ではふにゃふにゃして通らないでしょうし、細くても固ければ折れやすそう。穴自体が大きければいいかというと、それだと空気が入って、回すときにぶわんぶわんにならないか?
……などなど、ビーズロープをヒントにした「糸通し型リサイクル」にはあれこれ問題がありそうです。
通せたとしても、なるべく切れ端どうしをくっつけようとするには、中の糸を強く引いて押さえながら、切れ端をスライドさせないといけません。これは切れた韓国ロープでも試すことのある作業ですが、繊維のほうが耐えきれずにちぎれることもあります……。
リサイクルは、溶かして原材料に戻すとか、リセットが必要なのかもしれませんね。