とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

585 デフォルメとディテール(2)

今回は「演出のこと」。

このテーマのきっかけになった車を見たとき、2つのロボットを思いだしました。

ドラえもんガンダムです。

577 心のリリース(1) で「子どものころ、同じロボットでも『ガンダム』じゃなくて『ドラえもん』が好きで」と書きました。リアル寄りよりも子どもっぽいほうが好きだった ―― という例で話に出したんですが、この「好き」には「描きやすいかどうか」もありました。

かなりデフォルメされたドラえもんはそれっぽく描けても、ガンダムは立体的なパーツがたくさんで、僕にはどう描き進めていいのかすらわかりませんでした。お絵かきだと、逆にディテールに苦手意識があったのですね。


デフォルメされた絵には、ひと目で感じる強さがあります。

まずはストレートに、目に飛びこんでくるわかりやすさがあって、そこから安心感やかわいらしさに印象がつながります。

逆に、マンガの『HUNTER×HUNTER』の爆弾魔(ボマー)編で、ゆがんだ線で描く朦朧(もうろう)とした視界とか、書きなぐった線で描く怒りと脅(おど)しとか、わざとちょっと崩すデフォルメも記憶に残っています。

最近知った話だと、『ハートキャッチプリキュア!』が他のシリーズに比べて幼いデザインなのは、毎回、苦しみやコンプレックスをかかえる人を描いている中で、雰囲気が重くなりすぎない効果があるとか、最新シリーズの『トロピカル~ジュ!プリキュア』の姉御肌の先輩の変身シーンは、メリハリをつけるためにわざとアニメの描画枚数を減らしてシンプルにしているとかありました。


というわけで、なわとびにおけるデフォルメの話。

あれこれ書いたのは、なわとびの演出も「形」が似ているし、実際にできそうだからです。ゆがんだ縄、荒々しい縄。子どもっぽい縄、動きをしぼった縄……。最初の3つは、雰囲気や物語性の中で活きる感じでしょうか。幼い雰囲気なら、単縄の紹介イラストなどに使って、親しみやすくするほうが効果ありでしょうね。

ピンときそうなのは最後。(動きをしぼった縄)

子どもの前で軽い2重とびを見せると、「2重とびに見えない」と驚かれます。一生懸命回さないとできないはずの2重とびなのに、どうしてこんなゆっくりでも簡単に跳べるの? ―― そんな反応。シンプルに見せたことで2重とびが際立った、演出の瞬間とも言えるのだと思います。

逆に、6重とび、7重とびと、回旋を突きつめていくのも「すごさのデフォルメ」でしょう。これが、SEBトードOOCLとか後ろSASOASだと難易度が高すぎてデフォルメする余裕がありません。TJ4重ぐらいなら、「足の下に手を入れて、しかも3重とびしてるのに余裕!」と、わかる驚きを生みだせる人がいるでしょうけど……。


こういうのは、単純に跳べば(回せば)いいわけではありません。

イラストもそうですが、どれだけデフォルメで単純そうでも、基本は細部(=ディテール)なのです。2重とびなら、なるべくぎりぎりまで縄を待ってから跳びますし、軽く見えても大きく回して、そのあいだ滞空できる高さでジャンプしています。技術を熟知してこそ、簡単に・ポイントをしぼって跳べるのです。

今でも、イラストは細部がわからなくなるときが悩みどころです。これはなわとびも同じ。困ったときは、ディテールが理解できていないのでしょうね。

……こういう話を最後に絵にしようと思ったのですが、どうもイメージが固まらず、前回予告したようにネタ寄りのイラストで終わりにします。

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デフォルメを身につけた彼はどうなる!?(続きません)