とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

639 あけびとび

今回は「イラストのこと」。

以前、珍しくリクエストをいただきました。

しゅんさん(しゅんかん (@iliastelsyunkan) / Twitter)からのコメントで、マンガ『明日(あけび)ちゃんのセーラー服』(博、集英社)になわとびしてるシーンがあるので、それをテーマにいかがですか? と。

すみません、ようやく最近読みました。

2巻収録の11話「まんげつりょう」のエピソードですね。2重とびに始まって、TS、後ろ→前の回転とび、左右にEB、EK、とどめにTJ …… 単縄のいろんな技が、丁寧に連続画で10ページ以上。ここまでマンガで単縄の技を見たのは初めてです。

本職の人はやっぱりうまいなあ、と見いりました。ここから何かテーマを見つけるとしたら ―― 「描いて初めてわかる」でしょうか。


人を描くって、全身の部位を追うことでもあります。

これまで、数百枚なわとびの絵を描いてきましたけど、描けば描くほど疑問が生まれます。

手はどのあたりで回しているのか?
体はどれくらい曲げているのか?
グリップを握る手の角度は?
指はどんなふうに握りこまれている?
服のそでは肩口からどう引っぱられているのか?
ハーフパンツだとすそはどこまで隠れるのか?
靴はどの部分が見えるのか?

毎回悩んでいます。見本になる画像や動画があればだいぶ描きやすい。でも、イラストの都合で構図が違ってくると、この角度ならどう描くのか? でまた悩むことになる。この繰り返しです。

こういう複数の情報をまとめきるのが苦手なので、イラストのレベルも毎回見てのとおり……。まあ、そこは置いておいて、紙にペン先を乗せようとするたびにわく疑問は、実際に跳ぶときの疑問と同じなんですよね。

「描いて初めてわかる」って上で書きましたけど、「わかる」って、理解できたわけじゃなくて、自分が気づいていなかった部分に気づくこと ―― つまり、「わからなかったことがわかる」なんです。


なわとびって、いくつか動作が重なる運動です。

2つにしぼるなら「跳ぶ」と「回す」。でも、跳ぶなら、足首、ひざ、股関節はどれくらい曲げているのか? 回すなら、腕、手、指はそれぞれ位置や角度はどうなっているのか? 細分化するとどんどん謎な部分が出てきます。

ブログ初期のころ、同じようなことを書きました。

描くときにどれだけ「答え」をペンに乗せられるかって、自分がその動きをどれだけ理解しているかということです。それが、棒人間から写実画まで、描こうとするときに言えること。

『明日ちゃん』の作者の博(ひろ)さんは、このマンガで、観察・記録するようにキャラを書きこむシーンがすごく多くて、「読むデッサン集」とも言われているほどです。なわとびシーンも、手の角度とか体や縄の流れに違和感がないのが、そこだけでまず上手。経験者かどうかはわかりませんが、少なくとも頭の中では技を理解しているんだろうな、と理想をこめて納得です。

TJでトードに入るときの脚がちょっとイレギュラーな感じもしますが、かえって明日ちゃんの性格が出てるように見えるのが、キャラと技の融合ですね。

描くとき・跳ぶときの楽しみの種が、また1つ増えました。


そんなわけで、今回はTJシーンの模写を。

 

 もっと!

  ―― 『明日ちゃんのセーラー服』11話「まんげつりょう」より


こんなテーマになりましたが、しゅんさん、リクエストありがとうございました。

最後に、アニメ版でこのなわとびシーンを使ったエンディングがあるそうなので載せておきます。1回かぎりの特別EDを、作画の人が1人で描いたらしい……。こちらもこちらで力入ってます。