とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

652 上下に振る

■ 上に回すから下に振れる

今回は「回しかたのこと」。

 ―― どうやったら上下に振れるんだろう?

そう、回しかたというより、振りかたの話です。昔からたまに考えていた手の動き。前回、手を下げて回す・跳ぶフォームに「模範」という言葉を使いましたが、上下に振るような回しかたも、僕の中では「模範」でした。

いざやろうとしても、どこか縄がついてこなくて、ただ手もとだけが動いてしまう。まるで、短すぎる羽根を必死に動かすだけで飛べないような……。「上下に振る」は、そんなわからない感覚でした。

ヒントの1つは、前回の話にある気がします。


縄と手の高低差。

縄が頭上にあがったとき、手を下げる。縄の頂点と手の距離が広がれば縄も張る ―― という状態からの回旋は、「上から下に振る」そのものです。そして、下に回ってきた縄が足を通ったら、今度は引きあげる。「下から上に振る」です。この繰り返しが回旋だとすれば、手の動きは「上下に振る」に見えませんか?

この動きができなかった僕に足りなかったのは、「回す」というステップです。

そんな当たり前のことを、と思われるかもしれません。でも、回す以前に「手を動かす」段階でつまずいている人は多いのです。僕もそうでした。足の下に縄を回すことばかり意識して、回った縄を後ろから前に、特に、上に向かってあげるところで手が止まっていました。他のスポーツなら、打ったあと、蹴ったあとなど、フォロースルーの部分かもしれません。

ブログでも徐々にそういう話を書いて、4重とびのあたりで、頭上にあげるのもポイントだと気づくようになりました。上げるからこそ下げられる。どれも、「回さないと縄は動かない」ことにつながっています。

縄の軌道は横から見て正円が理想だと思っていましたが、ここにきて、上下に伸びる楕円(だえん)にまぶしさを感じています。


つまり、上下に回すということですね。

ただ振るだけだと、縄が上下に跳ねるだけに思えます。ですが、最初に上から下に振る前に縄を回していることで、「回転運動にそいながら振る」ことができるわけです。ここに、頂点から手の位置に距離ができることで縄がピンと張り、勢いがつく。そういうメカニズムかなと思いました。

イラスト:上に回し、下に振る、その繰り返しが上下を生む。背景は昔の教室。

上から下へ、そして上下へ

同じ理屈と言えるかわかりませんが、EBの背中側の手でも応用できた気がします。といっても、回すときに背中側の手を上げて下げただけですが……。単純な動きながら、縄の動きに背中側で「振る」ように合わせると回しやすくなりました。

こうした回しかたは、どちらかというと垂直方向の動きなので、そこからブレると崩れやすいと思います。腕を引く、反動で後ろにそれる、など後方へのブレが起こりやすいでしょうか。それを支える体も1つのポイントに思えました。


懐かしく思い出した。本格ミステリィの潔さを。

周木律さんの『眼球堂の殺人 ~The Book~』(講談社)文庫版に作家の森博嗣さんが寄稿した帯文です。前回も今回も、子どものころ見た記憶のある、「きれいななわとび」でした。あのころを原体験と言えるなら、きれいななわとびにはずっと、潔(いさぎよ)いほどに突きつめた形があったのだと思います。

 ―― 懐かしく思い出した。本格なわとびの潔さを。

その記憶を、今の自分が再現できるように近づきたいです。