■ サイドスイングは体を支えながら
今回は「サイドスイングのこと」。
前回の「過剰」で思いだした光景があります。
以前、通勤時間帯によく見かけた自転車の男性。線路沿いの広めの道を、かなり体を左右に揺らしながら自転車をこぐ人でした。動きが大きいので、視界に入ると遠目にもわかります。人も車も、ぶつからないように距離を置いてすれ違う、そんな毎朝の光景でした。
僕も体を右に傾けぎみです。自転車で右に揺れては戻して …… とまではなりませんが、なわとびを通じて体のクセに気づいていたので、その人を見ると、自分のクセを呼び起こされるようでした。
なんで思いだしかというと、SS始まりの技を練習したからです。
SSというのは、左右にサイドスイングすること。
そのあと2重とび(OO)をつなげるなら、技名はSSOOで、全部1つのジャンプの中で跳べば4重とびになります。
動きのイメージどおり、SSはかなり左右に振られます。振るのは縄であって体ではないんですが、勢いよく回そうと思えば思うほど、腕の勢いにつられて体が右へ左へ揺さぶられることも。「過剰」な動きが、正確さや安定感の「欠落」につながるわけです。
ここで足りないのが体の支えです。
左右にサイドスイングするとき、体を開いてしまうと、バランスもあってか脚はすこし反対側を向きます。その結果起こるのが、体がねじれ。ねじれを戻しながらサイドスイングして、さらに続けて技を決めようというんですから、縄がブレるリスクは大きいです。体がまっすぐでないので、ジャンプも崩れやすい。
ねじれるのは腰のあたりです。なので、おなかを固めるようにすると、左右のスイングを支えてくれるので、体の動きを抑えぎみになって、縄のブレは減ります。
サイドスイングそのものの話ですね。
SSは左右に広がって勢いもつくから支えも重要になりますが、普通のサイドスイングだって、縄の流れにつられて体が動いてしまってはオーバーリアクションです。
サイドスイングの前に、ちゃんと後ろから前に縄が縄が回っているかも重要だと思います。ちゃんと回ってきた縄は、一定の重みがあるので回しやすくて、サイドスイングにもつなげやすい。交差の前にOがあるのと同じです。
サイドスイングの次の体勢で、どこに手が来るのかを先に確かめるのもいいですね。目標が定まっていると、体を支えることに気を回せます。
体のクセは、その人のこだわりだと思っています。
冒頭の自転車の人も、僕自身もそうですが、こだわりのある動きは、まわりから見れば不自然だけど、本人にとっては自然なものです。その動作、その方向に寄りかかってしまうことが幾度となく繰り返されて日常化した結果です。
ただ、ある程度定番化した姿勢・動きのある運動では、通用しないこともあります。縄ではなく体を振っていては引っかかってしまうように……。寄りかかるなら、空中の自分という大樹、というときも必要なんでしょうね。
余談ですが、映画『のび太と夢幻三剣士』に出てくるヨラバタイ樹というネーミングがお見事で忘れられません。