とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

669 EBTJQ&A

■ まぎらわしいからルールがある

今回は「技名のこと」。

「TJはレベル3だよね」
「うん」
「じゃあ、EBTJはレベル5?」
「うん?」

ここまでで何の話かわかった人、いるでしょうか……。


別パターンにしてみます。

「TJは3重とびだよね」
「うん」
「じゃあ、EBTJは4重とび?」
「うん?」

読めてきましたか? 技名をどう見ているかです。

「TJは[S.トード.O]だよね」
「うん」
「じゃあ、EBTJは[EB.S.トード.O]?」
「いや、そうじゃない」

イラスト:EBからトードに移る技を示す男の子と、EBトードの状態を示す男の人

EBTJ、2つの姿

単縄の技をいろいろ知ったころ、EBTJはこういう技だと思っていたんですよね……。本当は[S.EBトード.O]で、トードをEBトードに変えたTJのことをEBTJと言うんですが、文字列の置換的な発想で、EBTJのTJの部分だけ[S.トード.O]に分解して考えてしまったのです。


そもそもTJは通称です。

技名と言えば技名ですが、考案した2人のジャンパーのイニシャルをつけた名前だそうです。ルール上は[S.トード.O]。でも、基本的な片手制限技であるトードを使って見ばえのいい多回旋技だったせいなのでしょうか。すっかり単縄の代表技としてもTJという名称で定着してしまいました。

EBTJは、通称が混在しているから始めのやりとりが生まれるのです。

EBは前後交差とびの名称で、ルール上もEB。普通に開いた跳びかたがO、交差がCなのと同列です。そこへ[S.トード.O]であるはずの技がTJと名乗ってくっつくからややこしくなるのです。

そういう順番で作られたわけじゃないのは上で書いたとおりですが、考えようによってはこういうカン違いも起こるのかなあと思いました。(実際カン違いした人)


くっつくというと、[.]が重要です。

(数年前のルールだと[・]中点でしたが、今回はひとまず[.]ピリオド)

EBTJは[S.EBトード.O]ですけど、どうして[SEBトードO]と表記せずに[.]で区切るのでしょうか?

この技がまさにそうなんですけど、[SEBトードO]は、この表記だけでは、[S.EBトード.O]の3重とびなのか、[S.EB.トード.O]の4重とびなのか判別できない問題を抱えています。

これまたEBトードという技が、EBとトード、2つの基本技の名前をくっつけて名づけてしまったのが原因な部分もありますね。そういう混乱を防ぐためとか、1回旋ごとに区切って何重とびかを判別するためとか、正確さが求められる場面では区切りの[.]が使われているのでしょう。


実は今回の話、元ネタがあって――。

…… ここに、「阿」があり、また「阿吽」があったとする。「吽」が「阿吽」に成長すると仮定するなら、「阿吽」は「阿阿吽」へと「阿阿吽」は「阿阿阿吽」へと成長することになる。

  ―― 円城塔「種字」(『文字渦』所収)(新潮社)


元ネタというのか、以前これを読んだときに、EBTJのことを思いだしたのでした。引用部分は、やがて無限に飲みこまれるイメージから成仏にもつながると書かれたくだりですけど、技名に置きかえたらどんな光景なのでしょうね……。レベル∞。そこまで話をふくらませられなかったので、こんな話に落ちつきました。

ちなみに冒頭のやりとりは、[EB.S.トード.O]はレベル5? と言ってます。現行ルールだとこれであってるんでしょうか。OSOOの4重とびでレベル3、そこに片手制限のEB、トードでそれぞれレベル1がプラスされてレベル5?

ルールだから行きつく答えはあるにしても、ちょっとした「沼」ですね。