■ スキップはひざ上げが跳ぶタイミング
今回は「スキップとびのこと」。
「スキップしながらできるよ!」
と言って1年生の子が縄を構えました。それはすごい。学校だと、走りながら跳ぶくらいしか見たことがありません。「見せて!」 僕の声に、その子は校舎と校舎にはさまれた敷地へさっそうと踏みきりました。
スキップが始まった ―― けど、跳んでない……。縄を片手にまとめて持ってるだけ。しかも戻ってこない。元気な弾丸か!
そんなわけで、いっしょに見てた子たちと「スキップとび」に挑戦することに。
いや、できると思ってたんですよ。ところがタイミングが合わない。そのバス切符 ―― じゃなくてその場スキップはできるんですけど、うまく縄が通らないのです。他の子も、スキップ自体苦手な子もいて、次々と固まるありさま。
その週末、ひそかに公園で修業しました。
丸見えの広場でひそかも何もないのですが、見られても恥ずかしくないくらい早めに、コツはつかめました。
わかったのは、足ではなくひざがキーポイントだということ。
スキップは、ひざを上げる勢いに合わせて、足が地面から離れるんですね。縄を回す(足の下を通す)のはそのタイミングでした。できなかったときは、足がまだ地面を押さえつけているタイミングで縄を回して引っかかっていたようです。
タイミングに差があるのです。
普通、なわとびを跳ぶときは、足が地面を押さえたら「すぐ跳びあがる」ので、縄もそこに合わせて回そうとします。でも、スキップの場合、ひざ(もも)を上げるまでの「ため」があります。軸にしている足は、すぐには跳びあがりません。
それでワンテンポ違ってきます。普通のなわとびの感覚で回そうとすると、まだ足が「ため」状態で地面から離れていない。だから引っかかっるのです。
スキップとびでは、片足立ち状態をキープして、そこへ縄の速度を合わせるコントロールの技術が必要になるのでしょう。
ハイニーという跳びかたがあります。
そして、これがスキップとび。
動きは似て見えますが、ハイニーがひざを上げて1、下ろして2、で2回跳ぶのに対して、スキップとびはひざを上げて1回跳ぶだけ。反対のひざを上げるところまで次を跳びません。縄の速さが半分なのです。
ハイニーはどこか機械的な一定のリズムですが、スキップはテンポをずらしたようなリズム。そこで縄をゆっくり回して調整するところがコントロールなのでしょう。
なわとびは多回旋・特殊交差の高難易度の技が主に競技で躍進しつづけてます。その一方で、パフォーマンス的にステップを刻む動きも増えました。やってみると、足の動きと縄の速さのバランスが難しいのがわかります。スキップも、初歩的に見えて、しっかりと必要な要素を含んで、求めてくる跳びかたです。
子どものころ、スキップがまるでできませんでした。
親がつきっきりで教えてくれたのを覚えています。箸(はし)の使いかたと同じで、身につけたものは、あるとき形を変えて生きてくるものですね。