■ 蹴るつま先、踏むかかと
今回は「ジャンプのこと」。
地面を踏(ふ)んでるから体が上がらない。
ジャンプが上に伸びない理由はいくつかあると思います。足と地面の関係で見ると、「かかとで踏む」力が入ってしまうと跳びづらいのではないでしょうか。
こういうことです。
つま先で地面を押して、跳ねかえるように跳びあがるのが「蹴(け)る」に近い動き。地面からの反発力が足首、ひざへと順に伝わって上半身まで届きます。
一方で、かかとで地面を押してしまうのが「踏む」力。地面を踏んでしまうと、跳ねかえす力が返ってきません。足首がバネのようには動かず、ひざがクッションのように反発力を吸収してしまって、力を伝えきれないのです。
かかとで地面を踏むと、むしろ、つま先が上に向いてしまって、ますます跳べません。足首が固まるのは、それほど脚全体の動きを阻害するのです。
跳ぶ前には、構えがあります。
そのとき、かかと側に重心が寄っていたり、足の裏全面が地面についたベタ足状態だと、跳びあがりづらいですよね。連続で跳ぶとき、着地も跳ぶ前の構えの1つだとすれば、やっぱり同じような足のつきかただとジャンプがきれいに続きません。
「つま先で跳んでみよう」
というアドバイスは、そういう足の動かしづらさを作らないためと言えます。体の前へ重心がかかるので、かかと側(=後ろ側)に体が揺らぐのを防げます。
なわとびでこのバランスが重要になるのは、回す動きが体を後ろに引きやすくしてしまうからでしょう。
前回しだと足の下を意識したとき、縄も手も引っぱりぎみになります。後ろ回しなら、やっぱりかかと側に回す力で手が引きぎみになる。どちらも、ただジャンプするだけならそこまで後ろに寄らないはずが、縄を回す動きが重なるために後ろ寄りになってしまうのです。だから、縄は前に回すことも忘れないようにするか、引きぎみに回すとしても体をブレさせないのが大切です。
この条件がそろうと跳べる人は多いでしょう。
つま先で跳ぶ。後ろに揺らがないように体を支える。高く跳ぶプラスの技術はまた別物かもしれませんが、低く跳んでしまうマイナスの技術を防ぐだけでもジャンプ力は変わります。
何か技に挑戦しようとするとき、構えると、どうしてもかかとで地面を押さえて踏んばってしまいがちです。なわとびは「跳ぶ」と言いつつ「縄回し」のウェイトが大きい運動。手と縄のほうに意識が行って、力が入るほど、体が揺らがないように地面を踏んでしまうんですよね。
TJみたいに片足を上げてフォームを作る技だと、残した足で体を支えてしまうこともあります。[両足ジャンプ → 片足を上げる]はずが、[片足を残す → 片足ジャンプ]になってしまうのです。
自ら悪条件を作らないためには …… というお話でした。