■ 人の合図から、自分の合図へ
今回は「音とタイミングのこと」。
タイトルとテーマで今回の話はまとまってますが、お付き合いください。
クラブや児童館のお手伝いで、ひさしぶりに子どものなわとびを見ました。アドバイスを言葉にするのは難しいものの、簡単な声かけだけでも効果があるように感じます。
声かけでタイミングをつかめるからです。
もう1年半も前に書いた話になりますが、あのころも、同じことを書いてますね。
跳び続けると、タイミングがズレてきます。それを、そばで声をかけることで、一定のリズムに持っていけます。「はいっ、はいっ」でもいいし、「3、4」と数えてもいいです。まだ自分だけでタイミングを合わせづらい子にとって、かけ声という「音」が目印になるのです。
センスのある人は、縄の勢いや、地面をける足の感触で、縄を回すタイミングをつかめるのでしょう。でも、感覚の力は人それぞれです。力のある人以外がタイミングをつかむには、感覚とは別の手段も必要です。
「かけ声をよく聞いて」なんてわざわざ言いません。声に合わせて跳ぶうちに、自然にタイミングがわかってきます。2重跳びなら、「間」もなんとなくつかめるはずです。
できればここで、「声なしで合図だけ」のステップを入れたいです。手を上下させるだけとか、その程度で十分です。何が狙いかというと、自分の音を知ってもらうためです。
跳べるときはどんな縄の音なのか。どんなリズムでジャンプしているのか。
これを知ったとき、もう声かけも合図もいりません。今度は、自分の音を頼りに跳べるようになっています。理想の音を得たとき、その子はタイミングも身につけていることでしょう。
音はいろんな場面で人を助けていますね。
8の字の「はいっ、はいっ」というかけ声はチームのペースになっています。
ダブルダッチのBGMは回し手と跳び手のリズムを共有しているそうです。
最近、後ろのトード・Oがすこしずつ成功しています。まだダイレクトでないとうまくいかないんですが、ついにできました。前回こうじさんにアドバイスしてもらって、だんだんと縄が通るようになってきました。
これも、音が見えてきてから一気に成功に近づきました。
音が見える ―― 跳べるときの音がわかるという意味です。縄が通るまでもうすこしというとき、「ヒュンヒュオヒュンッ」という音が出せればいける、と気づきました。文字じゃわからんと言われそうですけど、自分にとってはこの音なんです。
3重跳びもそうですが、今まで覚えた技も、きっと、音からタイミングを知ったものが多いんでしょうね。
音は、タイミングにつながる自分へのかけ声です。