■ 勘ではなく実感をつかめる縄
今回は「縄のこと」。
インドロープで後ろあやとびを跳べた子を見て。
後ろあやとびを教えてほしいと近づいてきた1年生の子。使っていたのはたぶん 100均でよく見る白い持ち手に透明色の縄。細かい話はこのあと書きますが、インドロープのような重い縄を使うと、跳ぶタイミングまで変わってくるのは新発見でした。
まずその子はどんな状態だったか。
目についたのは、後ろとびで跳びあがるタイミングが早いことです。大半の子はあや(交差)の前に予備跳躍をするのですが、この段階で跳びはじめがけっこう早いのです。
普通の後ろとびがそういうタイミングなので、交差に入るときも当然跳ぶのが早い。おまけに手を開くのも早いので、着地したころには脚に縄がからまってしまうパターンばかりでした。
試しにインドロープを使って、すぐにこのタイミングが変わったわけではありません。最初は「大きく回してみて」とアドバイスして、縄が回る感覚をつかんでもらおうとしました。縄の重さもあってか、回しきれてなかった交差をすこしずつ作れるようになって、何度目かの挑戦で、[交差 → 開く]が成功しました。
そのときは、まだ跳ぶタイミングが早い状態でした。
後ろ回しで跳ぶのが早くなるのは、縄が見えないからです。
見えない縄をいつ跳びこえればいいのかわからないので、とにかく「跳んでおく」。空中にいさえすれば、どこかで縄が通過してくれるからです。ただ、バランスをとるのが重要な空中では、回すことになかなか集中できません。ましてや、後ろ回しに慣れてない中で交差を回したり開いたりは困難です。
ところが、跳べてくると、このタイミングが変わってくるんですね。今まで軽くて「見えてなかった」縄が、インドロープのようにぎゅっと詰まって重みのある縄だと、すこしずつ「見えてくる」。予防線で早めに跳んでいたジャンプが、もうちょっと遅いタイミングでも縄を通せるとわかってくるのです。つまり、縄をコントロールできるようになってきたということです。
驚いたのは、2日後には、もともとの 100均っぽい縄で数回、後ろあやとびを跳べるのを見せてくれたこと。休み時間のたびに、僕が何本も縄を入れてるかごからインドロープをつかんでいた子が、もう自分の縄で跳べてる。インドロープに比べれば軽い縄でも、回しているときの感覚をつかめるようになったのでしょう。
いい縄って効果がありますね。
インドロープや韓国ロープは、グリップの長さも交差に向いています(商品説明にもそう書かれてます)。むしろそちらが子どもに貸す理由として大きいんですが、「重さ」にも意味があって、感じとれれば回しかたがぐんと上手になるのです。そこから跳ぶタイミングまでうまさが広がるのはなるほどでした。
指導は技術だけでなく、環境を変えることも指導なのだと思いました。
4回続けて交差のイラストですね……。やっぱり、「次の技」への分岐点の1つなのでしょう。
ちなみにその子、今度はビーズロープで挑戦してましたが、ジャラジャラする感触や、交差で縄が接触したときのさばきかたに戸惑って、あまり続かなかったみたいです。変わる環境によりけりですね。