今回は「わきのこと」。
前回書いた手首の話といっしょに出てくる話があります。
「わきをしめる」は違います、という言葉。
手首の話では、ダメと言うからには、「ダメのメカニズム」が理由としてあるだろうと書きました。手首なら、手元で回しすぎて縄に力が伝わらない、という理屈。
じゃあ、わきにもダメのメカニズムがあるのでは……。
こちらは、実際やってみると、手首よりわかりやすいです。
単純に手が動かしづらい。なのでダメということですね。
わきをしめよう! とアドバイスを受ける子は、そもそも、わきの下が大きく広がるくらい腕を開いている子が大半です。そういう子は腕全体を動かさないと縄を回せない段階にいるので、いきなりわきをしめたらもう回せません。
むしろ、その子の今の技術でできることを封じてしまうので逆効果 ―― 最近見た指摘をまとめると、これがダメのメカニズムと言えそうです。
わきは、ある程度まではしまっていくものだと思います。大ざっぱに言えば、上達とともにすこしずつわきの下の空間が小さくなる感じ。その「すこしずつ」をすっ飛ばすアドバイスはアドバイスにならない、ということでしょうね。
他で見た話や、これまで書いたことをまとめました。二番せんじな気もしますが、とりあえずイラストはあまりない、ということで……。
アドバイスの振れ幅というのか、ポイントが拡大解釈されてこうなったのでは……という話は、368 どうして「手首とわき」は生まれたのか? で書いたとおりです。
ただ、「わきをしめる」は、場合によりけりに見えます。
たとえば、わきの下にタオルをはさむ練習方法。あれも、いきなりそれで練習しても動かしづらいだけですが、ある程度技術のついた人なら、コンパクトな動きをめざす手段の1つになると思います。(上達の手段というよりは、腕の部分的な動きを確かめる実験に近いですが)
逆に、「わきを開く」場合もありますよね。
5重とび以上の動画を見ると、だいたいわきが広がっていくフォームです。これは、腕を広げることで、縄の中央の回る「距離」が短くなる → 縄を回す時間が短くなる、という効果をねらっているのだと思います。
普通、腕を広げたら縄が高くなって足に引っかかりますが、5重とび以上になるとかなり足を曲げて、ほとんどしゃがみ姿勢なので、このフォームでもいけるのです。むしろ、多回旋を極限まで突き詰めるなら、このフォームでないといけない! くらいかもしれません。
こういう跳び方でなんとかしようとしている子どもがまだまだと思われているのに、何重とびにも挑戦しようとしている人が同じフォームに回帰していく、というのは、不思議な鏡合わせだと思います。