今回は「音のこと」。
技術より先に、音があるんじゃないかと思います。
マネするときのことです。
見たこともない動きでもないかぎり、動きをマネするだけなら簡単です。問題は、どれくらいのスピードやタイミングでその動きをするのか、という部分。
その技を見たときの記憶をたどってマネすると思いますが、きっと、姿のイメージだけでなく、音も合わせてイメージしていると思います。
記憶の音を出せるように跳ぶのが、マネということです。
主に多回旋がそうでしょう。
このまえ友だちにTJ4重(ほぼできない)を見てもらったとき、「トードからOに入るのが遅れている」と教えてもらいました。
たしかに、Sからトードは(そこまで速くないにしても)すぐ入れているのに対して、トードからOはもたついていて、音が途切れています。なので、着地までに縄が回りきらない ―― なるほどです。
上手な人はそこがスムーズに動いていて、音が連続でつながっています。手や足の動かし方とか、ジャンプに入る姿勢とか、いろいろ試していましたが、「この音を出せるようにしよう」という指針を作ると、試すにしても1本線が通った感じがしました。
SCOOやSEBOOはだいぶできるようになってきましたが、これもタイミングは音でつかんでいる気がします。動きは動画や鏡じゃないと確認できませんが、音は「跳びながら確認できる」のが大きいですね。
音を再現できるようになると、技もできるようになったと言えるのかもしれません。
上手な人と練習するとうまくなると言います。
目の前でじかに見る技から、いろんな情報が飛びこんできて身につくからだと思いますが、音もかなりのウェイトを占めている気がします。
動きを一度にとらえるのは難しくても、音は一瞬で聞き取れます。動きに加えて、どのタイミングでどういう音が鳴っているのか。そうした複数の情報で、自分の中に刻まれるイメージがより鮮明になるので、目の前で上手な人に跳んでもらえるのは大きいのでしょう。
音は、跳んでみたかったあの技、マネしてみたいあの人に近づく道しるべだと思います。