今回は「単縄のこと」。
前回に続いて、もう1つ、問いかけタイトルで。
今回は先に答えを持ってきます。実は、答えられません。なぜかと言えば、この問いかけをされた時点で、場面の作り方を間違えているからです。
想定しているのは、「単縄の入り口」みたいな感じでトードを教えている場面です。
単縄の基本技と呼ばれる技があって、オープン(普通)、クロス(交差)、EB(前後交差) …… と8つくらいあるらしく、トード(片足下交差?)もその1つです。
学校でやるのが、せいぜいかえしとび(フェイクEB:跳ばない前後交差)までと考えると、トードは実に単縄の入門らしい技と言えます。
――と、ここまで考えて、教える技にトードを選ぶ単縄人は、そこそこいるのではないでしょうか。でも、その場面、どういう場所で行っている指導ですか?
学校や、ごく一般的ななわとび教室なら、あまりウケないと思います。
実際、自分がそうで、初めて学校でなわとびクラブをやらせてもらった年、1回目にトードを持ってきたら反応が良くなかったのを覚えています。
見た目が変わっているので、まず挑戦はしてくれるんですよ。でも、そこからが続きません。手と足の位置関係がどうにもわからなかったり、なんとかわかっても体勢が苦しかったりして、挑戦ムードはガタ落ちになります。
そして生まれる雰囲気、トードができるからなんなの?
できないゆえの逃げ言葉。そう思った人は、ちょっと上から目線だと思います。やっぱり、やらせるなら、やらせるだけの目的を何か、作らないといけません。それこそ、「めざせTJ!」なら避けては通れないフォームなので、練習するだけの理由も出てくるでしょう。
でも、それにしたって、トードやTJを跳びたくなる空気がなければ、ただ珍しい技のチャレンジタイムにしかなりません。いくら珍しい技を知っていたところで、教える相手がそれを跳びたくならなければ、教える意味がないのです。
空気、雰囲気、場面、いろいろ言い方はありますが、それらができていないのなら、トードができるからなんなの? と問われても仕方ない。そういうことです。
そんなわけで、僕はあれ以来、トードを教えたことはほとんどありません。
今の学校でも運がいいことになわとびクラブがあったので、今年は僕の計画を使ってやらせてもらってますが、教える技にトードは入れませんでした。
トードをやるくらいなら、TSをやったほうがいいと、個人的には思います。珍しさが「背中で交差」のワンフレーズで理解できて、興味を引きやすいからです。ただ、興味はあくまで入り口でしかなくて、全然縄が回ってこないのが続くと、雰囲気が冷めるのも早いですね……。
アームラップやピックアップのほうがウケが続くのは、とりあえずできて、いろいろ自分で試せる部分が多いからでしょう。技の「お手軽さ」があれば、雰囲気がなくてもそこそこできる例だと思います。