■ まずは交差に慣れるように
今回は「あやとびのこと」。
なわとびシーズンです。
学校の休み時間、1年生の子がすぐにいっしょに跳んでくれました。日ごろそんなに接点がないので、「何者」扱いされなくてひと安心……。
今年は珍しく、ちょっと跳んで見せただけで「教えて!」と言われました。何の技かというと ―― というわけで、今年最後の技話はあやとびです。
やっぱり、交差に入るところが課題ですね。
1年前にこんな話を書きました。跳ばずに交差して、縄がどこに回ってくるか確かめるのは1つの手です。ただ、いざ跳んでみると、やっぱり腕を開いてしまうトラブルはつきまといます。
そこで、次の段階として、交差状態で跳ぶ経験を積む必要があると思います。
交差した状態で縄を揺らしてみます。その縄を跳びこす。
上の 597 で書いたように、「ジャンプするときには腕を開くもの」と体が思いこんでいるなら、始めから交差した状態でジャンプしてみよう、ということです。それから、イラストのように交差を前まで回せるとさらにいい。
ひと口に「交差」と言っても、「交差を作る」「交差を跳ぶ」「交差を回す」 ―― と3段階はあるのです。
あやとびの[交差 → 開く]の動きはようやくそこから。
まずは交差ができないと、あやとびが始まらないのがわかりますね。当たり前と言えば当たり前なんですが、順を追って考えていくと、正しくたどれば1つの絵になる迷路みたいに、交差の存在感が浮かびあがってきます。
最近見ていておもしろいと思ったのが、ゆっくり回してもあやとびができる子。
前とびがぴょんぴょんとび(1回回すのに2回跳ぶ)でまだ幼い跳びかたなんですが、なぜかあやとびはできてしまうのです。縄のスピードなんて、紙風船みたいに落ちたらおしまいくらいの遅さなのに、ちゃんと交差しながら縄を跳びこえるし、ちゃんと前まで回して、今度は交差を開いてまた縄を跳びこすのです。
ゆっくりだからこそ、イラストのように跳ぶというより跳びこすくらいの動きで間に合うんでしょうね。ぴょんぴょんとびのリズムにちょうど合っているのかもしれません。なんだか、スローモーションのお手本みたいに跳ぶので、幼い跳びかたにも見習うべきものがあるんだなあと感心しました。
それでも、前とびがスムーズじゃない子にあやとびはまだ難しいです。
回す・跳ぶのタイミングが合ってないことが多いからです。そこに交差の「作る、跳ぶ、回す」のタイミングが加われば混乱して当然です。
あやとびに走りすぎず、手を上にあげて大きめに回すとか、すこしひざを沈めて縄を待つとか、基本的な動きに立ちかえることも大切だと思います。
ビーズロープですこし基本が前進した子もいました。縄の形をきれいにしたり、跳ぶタイミングを待ったりするのは、どんな技でも共通するテクニックです。あやとびのための交差でも、やっぱり同じことが言えるでしょう。