■ 連動はグリップの先まで届く
今回は「回しかたのこと」。
速く回すのを、よく「ヒュンッ」と書き言葉にすることがあります。
あれ、言うほど音を出せないんですよね……。できる人はできる。それなら、回しかたのどこかに難があるということだと思います。縄を引っぱりすぎた勢いで引っかかることはよくありますが、じゃあ引っかからなければ「ヒュンッ」と回せるかと言えばそうでもない。
回せないときはだいたい、どこかで縄の勢いがゆるんでいます。つまりは回している手がどこかで止まっているのです。それが起こるメカニズムとは何か?
何度も考えてきました。今回気づいたのは、「グリップの先が動いているかどうか」です。
ここでタイトルの「マッハ突き」。
足の親指から始まる関節の連動を足首へ
足首から膝へ 膝から股関節へ 股関節から腰へ
腰から肩へ 肩から肘へ 肘から手首へ
空手の正拳突きは、引く手と腰を切る動きも借りて、突く手の勢いが作られると聞きます。他の部位からの連動が、最後の拳(こぶし)に乗る流れ。それをさらに全身レベルで出力を上げたもの(8か所の同時加速)がマッハ突きです。
縄に速さを伝えるメカニズムはこれに近いものがあると思います。以前、416 と 417 で「縄の先をはじく」という話を書いたときも、きっかけは愚地克己(おろちかつみ)が上の技をさらに鞭のように進化させた話でした。連動が縄の先の「瞬速」につながるのです。
逆を言えば、連動がとぎれたら縄の勢いもとぎれるわけです。
問題はここ。縄をとらえられないとき、タイミングがつかめないイメージにとらわれますが、実際はどこかで動きが止まっているのではないか? ということ。なわとびだと、腕に限って言えば [肩 → ひじ → 手首 → 指先] の連動があって、どこかが止まってしまっているのです。
ただ、これだけだとまだ弱い。目標は、縄の先です。
そう思ったとき、本当に手からグリップに動きが伝わっているのか疑問になりました。縄がふわっとして勢いがゆるむ瞬間というのは、だいたいグリップの先で縄がはずれたような感覚があるからです。関節の連動が縄の先まで続くなら、グリップから縄 ―― つまり、グリップの先もまた、関節ではないのか?
そのために……。試してみて、自分で作ることのできる連動は、手首を動かしながら指先でグリップに円を作らせることでした。手首だけではグリップの向きはあまり変わらない。指先で加える最後の「連動」が、グリップと縄につながるのだとわかりました。
うまく描けなくてすみません……。
今その言葉で再現するなら、「点」が関節で、その連動の先に、腕から縄につながる1本の「線」が生まれるのが回すメカニズムになるでしょう。
支える足からの連動、そしてジャンプも一体化した連動も考えられます。さすがにいちどきにそこまで実感しきれませんが、回しかたにまたすこし言葉と形が生まれた瞬間でした。めざせ、「ヒュンッ」。