■ グリップを上下前後に向けて回そう
今回は「回し方のこと」。
「手首で」回そう。「縄を」回そう。
回し方のアドバイスは昔からいろいろありました。ところが、このアドバイス、上達した人ならともかく、縄を回す感覚をつかみきれていない人には、手首も縄もうまくコントロールできません。
今回書く話も、ある程度縄を回す感覚があってこそかもしれません。
「グリップを」回す。
最近、この言葉に行きつきました。上で書いたことと、何が違うでしょうか。まず、手と縄の問題として、
・手首で回すと縄が暴れる。
・縄をとらえようとすると手をどう動かしたらいいかわからない。
手と縄のコントロールは、こんなふうに、どちらも悩ましい状態に陥(おちい)ります。卵とにわとり論争みたいな、堂々巡りです。ただ、この問題、よく見ると手と縄をつなぐものとして、グリップの存在が忘れられています。
・手 → グリップ → 縄
縄を回す力は、この順番で伝わります。縄を動かす前に、「グリップをどう動かすか」があるのです。ここまで思い浮かんだとき、今まで書いてきたグリップ関連の話が吸い寄せられるように集まって、その中心には1つのキーワードがあるように思えました。
それは、向き・角度です。
回し方でグリップが話に出てくるときは、だいたい向きや角度のことを書いてきました。たとえば、前回書いたEBでは、グリップは基本真横で、EBでも体の前後で真横になっているといい話にふれています。
でも、グリップの向きは真横だけではありません。3次元の6方向で言えば、真横は左右のみ。他に、上下と前後もあります。ここが大きなポイントで、
・グリップを「上」に向けると頭上でも縄が張るんじゃないか
・縄が高くて足に当たるときはグリップを「下」げると軌道も下がる
・縄を引きすぎてしまうときはグリップを「前」に送る
・跳んだあとも縄の勢いをゆるめないようにグリップを「後」ろに向ける
こんな感じで、上下前後、どの方向にもグリップは動くのです。そして、これらをつなげると、グリップは360度の回転になります。ここまでイメージして、「そうか、回すってこういう状態なんだ」と思いました。
どれも、これまで書いた話でグリップをクローズアップしてみたものです。あれこれ考えてきたことが1つにまとまったイメージは、まさにこれでした。
だからといって、誰でもこのイメージで回せるわけではないと思います。
やはり、ある程度縄を回す感覚が必要でしょう。腕で回せるところまで来て、腕だけではこれ以上は動かせない ―― となったときに、「グリップを」回してみると、力が鋭く細く手の先へ伸びて、次の技術が見えてくるのではないでしょうか。
前回のEBのように、縄の形はできた、あとはおおげさな動きなしにどう回すか? というときに、「グリップを」回すのは1つの手だと思います。特に背中側の動かしづらい手も、グリップを回すくらいならなんとかできますし、動かせないままでいるよりはすこしはマシでしょう。