■ 前→後ろ→前のかえしとび
今回は「かえしとびのこと」。
どうなってるのこの動き?
……というシリーズを過去に数回書いていて、今でもたまに、動画で二度見三度見するシーンがあります。4重5重に特殊交差が入って速すぎてわからない技ではなく、自分の記憶のストックに照らし合わせてもわからなくて、頭の中で動きを再現できない技。
この 1:18 あたりもそう。 653 サブリミナル・サブタイトル で紹介したベルギーの Oceanie Foubert 選手の同じ曲の演技です。ラスト付近で、EB(前後交差)のフォームで回っているところが不思議な動きでした。
おそらくこうだと思います。
1.前のかえしとびをしながら回転。
2.縄が地面におりるところで
3.今度は後ろのかえしとびに切りかえる。
4.同じ方向に回転する。
5.縄が地面におりるところで、また前のかえしとびに切りかえる。
6.今度はその縄を跳んでフィニッシュ。
[フェイクEB → 後ろフェイクEB → EB]の流れを180度ずつ回りながらこなしているように見えました。回転方向は、最初のかえしとびに入る縄の動きに合わせて、イラストなら左回りのほうがよさそう。
実際やってみましたが、引っかかりそうに見えて、ちゃんと縄が流れるものですね。最後のEBを跳べたときは、小さな茂みの迷路をくぐり抜けたような開放感がありました。
実はこれ、回転なしでもできます。
その場でかえしとびを前後して、最後にEBで跳ぶだけ。もっと単純化するなら、普通の前とびを跳ばずに前、後ろと回して、最後に前回しで跳ぶのが基本形になります。
そこまで気づくと、つまりは[前 → 後ろ → 前]型の360(1回転)をジャンプなしで最後だけ跳ぶのと同じだとわかります。演技だと、移動のつなぎで使われるシーンもあるんじゃないでしょうか。それを前後交差バージョンにしたのが上の動き――。
ここも、紐解(ひもと)けると鮮やかで開放感がありますね。前後交差を使ってかえしとび風にアレンジするだけで、こんなに見ばえが変わるのかとうなりました。後ろかえしとびという、学校だとけっこう難易度の上がる動きが必要になりますが、できると楽しい流れです。
かえしとびを前後に切りかえて回転する動きは、このときも謎でした。
これがあったので、今回が「2」なわけです。理屈が同じなら今回も気づけよと言いたいのをこらえつつ……。こちらはハミングバードのようなEBラップにつなげてよく使ってます。
ちなみに、これ、競技的にはどんな位置づけなんでしょう?
ベルギー大会の BK と PK の違いはよくわからないのですが、2021の動画をすこしずつ追っていると、この動きを取りいれている選手をときどき見ます。最後にEBを跳んでるので、少なくともレベル1分は加算されてるにしても、あとは見ばえを中心にした評価ポイントになるかどうか?
動きはわかっても、そこは謎です。