■ 上昇も着陸もホバリングから
今回は「滞空時間のこと」。
「空中で止まってるみたい……」
以前、友だちと練習していたとき、いっしょに練習していた子の保護者がそうおっしゃっていたのを覚えています。友だちのTJ4重かEB3重だったかな……。跳びあがって最後の1回旋するまで、空中から下りてくる感じがしませんでした。
ほんとですね、と僕も思わず言った覚えがあるほど、空中で止まっているように見えたのです。
あまり詳しく考えたことがなかったんですが、どうしてそう見えるのでしょう?
ヒントはヘリコプターにありました。
森博嗣さんのエッセイで、「三十五年ぶりにラジコンヘリコプタにはまっている。」という話があります。(『つんつんブラザーズ The cream of the notes 8』、講談社)
そこに「ホバリング」(空中停止)のことが書かれていて、「ホバリングは基本中の基本だ」とあるのです。上昇も着陸もこの状態からとのこと。
たしかに基本……。なわとびでも、基本となるかは別として、空中で止まっている姿は、ホバリングと重なります。
ホバリングの仕組みは、ざっくり言うと、
ヘリコプターが上昇する力(揚力) = ヘリコプターが落ちる力(重力、重量)
このように、上がる・下がるがちょうど釣り合っている状態です。なわとびで同じように浮きっぱなしは難しいにしても、同じ理屈で考えることはできます。つまり、落ちる力に負けないだけの上がる力を維持していれば、空中で止まった状態に近くなるわけです。
跳びあがったときは、上がる力のほうが大きくて、体が空中に上がります。でも、重力がある以上、上がる力は徐々に抑えられていきます。上がる力と重力の強弱関係が逆転したときに体は落ちはじめると思うのですが、これって、普通に考えると、[上がる → 下がる]がすぐに切り替わって、「釣り合った時間」 ―― つまり、空中停止している時間はほとんどないようにも思えます。
それでも空中で止まっているように見えるのです。
コツ(?)は体の使いかたにありそうです。バスケ部やバレー部だった人とか、部活で教えたことのある先生に以前聞いた話だと、このへんを意識した練習があるらしい。バスケのジャンプシュートとか、バレーのアタックとか、空中で止まるようにして動きをとるシーンが、競技の中で実際にあるからですね。
エアジャンプシュートとかエアアタックをするそうなんですが、空中で1動作加えて、より高い位置で動けるようにするイメージだと聞きました。なわとびだとバスケやバレーと違って腕まで高い位置には持っていきませんが、それでも肩とか足とか、空中で落ちる力に抵抗するように力を加えるのが近いのかもしれません。
言い方があいまいなのは、僕自身はそのへんの感覚には届いていないからです。
何度かブログで書いたような、上半身をまっすぐ上にとか、頭や肩を空中に突き出して残すとか、それくらいのイメージが近い気はします。
ただ、これだと腰が引っぱられてケガしやすそう。足も下から押しあげる感じかなと思うのですが、体の使い方が悪いのか、空中への伸びありには届きません……。
単純に、高く跳べる人ほど落ちる力に抵抗できる時間が長いのか? 空中でホバリングできるような体の使い方を意識すると、変わってくるのでしょうか。