今回は「感触のこと」。
冬のうちに書きたい話なので、このあたりで……。
なわとびって、当たると痛いから苦手という子がたまにいます。当たって痛くなるほど回せるなら上達してるはずなんですが、痛みが怖くてなわとび熱はそこまでになってしまうんでしょうか。
これは以前、学校出入りのスポーツ屋さんからボールの材質を聞いたときに思った話。
低学年の先生に、ソフトドッジがほしいと言われました。
やわらかいドッジボールのことです。当たってもそんなに痛くないように、という理由の他に、低学年の子だと手が小さくて握る力が弱いので、投げる以前にやわらかいボールでないとつかめない子も …… なんて理由もあります。
となると、ゴムやスポンジ系ならいいのかな? と思ってスポーツ屋さんに相談してみると、「スマイルドッジボールはどうですか」とおっしゃる。スマイル? ボールにニッコリマークでもデザインされてるんですか? と幸せな質問をする自分。(なんの解決にもなってない)
「手ざわりがやさしいんですよ」
聞けば、ボールの表面が短めの繊維で覆(おお)われているそうで、マウスパッドの裏面くらいのイメージだとか。もうすこし毛足が長いと、電車のシートとかフリースみたいな触感っぽいです。ちなみに僕は、苔(コケ)をイメージしました……。
これ、ボールが当たったときのクッションのためかと思ったら、違うんです。投げるときにつかんだ感触がやさしいから「スマイル」なんだとか。ついでに繊維がいい摩擦になって、子どもの手でもつかみやすいのもポイント。ここで、低学年向けとしても生きてくるわけですね。
けっこう、心理的な効果をねらったボールでした。
ドッジボールも「当たると痛い」スポーツ。その抵抗感を、やさしい手ざわりという「投げる側」の感覚からなくしていくなんて、逆転の発想じゃないでしょうか。
この発想を縄にも持ちこめないか?
ボールは握るのも当たるのもボールの表面です。縄の場合、握るのはグリップ、当たるのはロープ。同じ発想でいくなら、手にふれるグリップを「やさしい」材質で覆います。マネするなら短い繊維 ―― いや、こういうのありますね。スポンジっぽいカバーがついてるグリップ。やわらかくて握りこみやすいし摩擦もある。
というか、これを言っちゃ台なしかもしれませんが、当たると痛いのはやっぱり縄なんですよ。冬は寒くて縄が固くなりがちだし、肌も乾燥ぎみで敏感になっているしで、痛いものは痛い。
じゃあ縄を繊維でコーティングしてやわらかさを演出するか? 名づけて「スマイルロープ」! たしかに痛みはすこしはやわらぐかもしれません。一方で、空気抵抗とかどう変化するんでしょう。モールを回すみたいなイメージ? 使っていけば、地面を打つあたりの繊維はすぐに傷みそう……。
スマイルドッジは、痛みをなくすわけではありません。
あくまで「投げて当てる」ことを、子どもに決めさせます。相手の痛みを想像して投げづらくなるのを防ぐのです。いわば踏みだす勇気に笑顔をそえるための「スマイル」。
なわとびなら、当たるのを恐れて回しづらくなる「気持ち」をやわらげるのがスマイルロープでしょう。それなら、グリップでもロープでも、やわらかさは1つの安心と言えるのかもしれません。回しやすさと両立できるかは課題ですけどね。
ちなみに痛くても笑顔になれるって……。
SF小説の有名タイトルをもじって、「縄は無慈悲な冬の女王」なんてタイトルが浮かびましたが、さすがに正面きって付けられなかったので最後にこっそり載せときます。
※今週のお題「冬のスポーツ」だそうなので、縄ネタですがエントリー。