とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

708 手首は縄が張ってから

■ 張った縄を手首でもうひと押し

今回は「手首のこと」。

手首を使うタイミング。

手首を動かすなら今、という瞬間があります。「縄の形」を感じとれたときと言えばいいんでしょうか。その状態で動かせば、思いどおりに縄が回ってくれる。たとえ、動きの細かい手首で回したとしてもです。


縄をとらえられるかどうか?

縄のコントロールとも言われる技術は、なわとびのいろんな技で重要になります。手首を使うときにも、ここがポイントになると思います。

縄をとらえきれていない = 縄がふにゃっとしてゆるみが残っている状態だと、力を伝えきれないのです。

まっすぐな枝を持ちあげるとき、軽く手首を上に向けても枝は持ちあがります。同じ方向を向いていて、力も同じように伝わるからです。ところが、曲がった枝だと、途中までは持ちあがっても、力の方向が変わるので、手もとから引っぱるように勢いをつけないと先端まであがってくれません。まっすぐな枝は、方向が同じだから先端まで引っぱりあげられている、とも言えます。

これを縄で見てみると、ゆるみがある縄は、曲がった枝と同じく途中で力を伝えづらくなるわけです。勢いをつけて初めて、縄にも張りができる。手首だけでは(上手な人は別として)簡単には縄の先まで力が伝わりません。

張りができた縄は、枝のようにまっすぐではないのですが、回転する勢いで力が伝わりやすい状態になっています。だから手首を使うくらいの動きでも縄をとらえられるし、そのまま順調に回せる ―― こういうことではないかと思います。

イラスト:縄を回す男の子。頭上で縄が張られ、ちょっと強調する効果が描かれている。そこから手首で回した縄は、本来の軌道よりすこし遠くまで広がっている。余白に「張った縄を手首で広げる!」

張った縄をさらにひと押し!

こんなに広がるものではないかもしれませんが、自分の意志でかけた遠心力はつかみやすいと思います。


いろんな技で、手首の出番を感じます。

4重とびも、縄を張るところまではできても、回しきれない時期がありました。手首をあまり動かさずに腕全体で回しつづけて、速さを作れなかったからです。強く縄を動かすことばかり考えて、手が固まっていたのだと思います。

リリースでも同じで、なんとか空中で回せるようになっても、どこか縄がついてこない時期が続きました。そこで手首の動きを加えてみると、縄が広がって張る感覚が返ってくる。

昔は得られない感覚でした。

変に手首を使っても、回る勢いと一致しなくて縄が混乱してばかり……。そんな経験が、高望みな技術として、手首を封印してしまったのかもしれません。

回しはじめでも近いものがあって、


前回しで最初に縄が張るのが頭上なら、たしかにこれで縄は伸びます。今も変わらず意識していますが、ここまで来たら、手首を使うとさらに形が整います。その動きを続けると、「手首も使った」回しかたにつながります。縄の弧を外まで広げる、手首でのひと押しが足りなかったのだと気づける瞬間ですね。


手首で回すのは慣れてから …… と言われます。

慣れないうちに手首で回そうとしても、縄がついてこないからです。

上手な人の小さな動きを見ると、手首で回しているように見えるし、こうしなきゃうまくなれない、と思わず感じるでしょう。でも、その段階では、手首はあくまで理想であって、秘訣ではありません。つかむにはまだ早い技術です。

腕全体で縄を送りだしながら、手首でもうひと押しできたとき、そのまま小さな動きで回せれば、「手首で回す」が手もとにやってくることでしょう。