■ 跳ぶのを待つのもなわとび
今回は「タイミングのこと」。
学校でクラブの時間がありました。
なわとびクラブは2校続けて10年以上になりました。もう異動(転勤)だろうな …… と思っていたら残ったので、クラブももう1年やらせてもらえます。年5回ですが。
そんなクラブ、初回は側振とび(サイドクロス)や回転とび(180)をメニューに入れてます。何年かやってきて気になっていたのが、形ができないまま跳んでしまう子でした。
初めて違うテンポに出会っているのでしょう。
回数を追うことの多い体育のなわとびは、一定のリズムです。同じ技を連続で跳びつづけるからです。あやとびだって腕の形は変わっても、[ 交差-開く ]を同じリズムで繰り返すのは他の技と変わりません。
側振とびや回転とびは、そこに「待ち」が入るんですよね。
横に振るときや体の向きを変えるときに、跳ばない間(ま)ができるのです。側振とびなら体の前に縄が来るのを待つ時間ですし、回転とびなら体の向きを変えてもう一度回すタイミングを作る時間。
これまで、回して、跳んで、回して …… と一定のリズムだったのが、「待ち」のぶんだけテンポがズレるわけです。形を作れなくてやぶれかぶれで跳んでしまう心理状態もあると思いますが、「いつまでも跳ばない」ことに耐えられずにあせって跳んでしまう、テンポのズレもあるのかなと思っています。
なので、「回るまで跳ばない」待ちの姿勢が必要になるのですね。
縄が回るまで。体が回るまで。
側振とびも回転とびも、回るまで待つ要素が含まれる技です。横に振る要素でつながっている技でもあるので同じ日のメニューに組みこんでいますが、「待ってから跳ぶ」というアドバイスを共通して使えますし、繰り返し伝えることで記憶に残りやすいメリットもあることに、この1~2年で気づきました。
跳ばない子もいるんですよ。わからないので手が止まる子。
そういう子は手や体の動きにしぼって教えればすみます。一方で、わからないままジャンプして混乱してしまう子ほど、跳ばずに待つことで、まず回す(回る)ことに気づけると思います。
回しかた(回りかた)を覚えるほうがたいへんなので、待つだけならそんなに高い壁にはならないでしょう。どうしてもつられてしまう子には苦しいかもしれませんが……。
上手になるほど、待つのは大切になります。
選手クラスだと特殊交差を入れて3重とびや4重とびするのが普通ですが、短く速い時間の中で、ちゃんと縄が通るのを待ってるんですよね。縄を待てるようになることが上達でもあります。
間(ま)というと、2重とびのように跳び終えてから次に縄が来るまで待つタイミングで使われることが多い言葉です。縄の緩急をコントロールして作るリズム・テンポと言ってもいいでしょう。
側振とびや回転とびは、さしずめ、縄の空打ちをコントロールできるか、といったところでしょうか。