■ 前回しからでも縄を待ってみる
今回は「クロスフリーズのこと」。
クラブに合わせてこの技を。
単縄のポーズ系の技としては定番です。できると楽しい形になるし、あやとりみたいに自分でも細かい仕組みはわからないけど形になってしまうマジック感があるんでしょうね。
クラブに入っている子の中にはうまく跳べない子もいます。そんなとき、メニューの中でクロスフリーズは誰でもできる、安心してグリップを握れる時間にもなります。そんなクロスフリーズ、クラブでは3段階で挑戦しています。
最初は普通に教えるだけ。
昔に比べると、つまずきそうなところで言葉が通るようになりました。思わず手首をひねってしまう子には「手はそのまま」、最後の手を広げるときには「横に開く」 ―― この2つが、声かけのタイミングとしてきれいに収まることが多い気がします。
一度教えると、ちょっと自慢したくなる気持ちもあるんでしょうか、できた子が他の子に教えてくれるので、気づくと全員できています。一度教えたあとは早送りを見ているようです。
その状態からクロスフリーズ返し。
これは意外とウケますね。「ちょっときついけど手を内側に~……」とためてから、くるんとクロスフリーズが裏返る。なぜか戻るんですよね。どこかで縄が巻きつきそうなものなのに。
さて、真骨頂はここからです。前とびからダイレクトにクロスフリーズを作れるか?
ここで詰まる子が増えます。
なんとなくのイメージだと、「空中にできた前回しの輪に交差した腕を入れる」なんですが、実はそうでもないんですよね。むしろ、一度縄を落としてから腕を入れます。
スムーズに見えるのは、「ダイレクトに見えて速いだけ」なのかも。
イラストのように静止画を切りとって見てみると、基本のクロスフリーズとそう変わりません。クロスフリーズは、体の前に縄を垂(た)らした状態から始めます。ほとんど同じなのに行きづまる子が多いのは、縄が動いているからです。
これも前回書いたような「待ち」の問題で、
1.どのタイミングで交差を作るのか?
2.どのタイミングで腕を入れるのか?
3.どのタイミングで交差を開くのか?
待って考えないと、こうしたタイミングがわからなくなります。
待てば、縄が自分の前に来てから交差を作っても遅くはないのがわかります。1は解決ですね。
さらに、そのまま腕を入れてしまえばいい。ここはちょっと基本のクロスフリーズと違って、ひじまで縄の輪に通してしまうような動きです。回ってきた縄にそのまま腕を囲んでもらう感じでしょうか(できあがりはすこし深くなりますが)。手やグリップを自分の側に向けると、やりやすいと思います。ここで2が解決します。
あとは交差を開くとできあがり。3も解決です。
1のタイミングまで待つことができれば、2、3は流れでできる。そんな連動が秘められた技ではないかと思います。
意外と後ろ回しのほうが相性がいい感じがします。
縄が自分に向かってくるからですね。回しきって頭の後ろまで行ってしまわないようなコントロールが必要ですが、後ろ回しの軌道のほうが体に寄せやすくていいのです。
このあたりは、リリースでグリップを手もとに戻す感覚に慣れているせいもあるのかもしれません。基本的に、「縄を回しきるのが普通」で跳んできた子たちには、いったん縄を止めること自体が未知との遭遇でもあるのでしょう。