■ 体のバランスを確かめる場所
今回は「フォームのこと」。
体と縄のブレについて何度も書いてきました。
大半は体が右に寄ってしまうクセから来ています。このせいでバランスの中心がズレるんですが、これがほんとにひどくて、縄が片足分横にそれて両足の下を通せずに引っかかることもしばしばです。こんなバランスならなわとびをあきらめればいいのに、と思ったことは数えきれません。
それでも、なんとか対策しようとしてきました。
前回、なわとびで一番見てきたのは自分の体だろう、という話を書きながら、フォームのバランスを確認するために触っている場所があるのを思いだしました。
大転子と呼ぶそうです。
体の前面、脚の付け根あたり。骨の図を見ると、大腿骨(だいたいこつ)の上端のようです。股のV字の2つの頂点にあたる場所に骨の出っぱりがあると思います。ここがやっぱり、右後ろに傾きがちなんですよね。
交差やEBの前に左右の大転子を触って角度を確認して、なるべく水平になるように体を調整しています。それから軽く手を動かしたり伸びあがりしてみたり。エア動作を入れるのは、慣れのためです。急に跳ぶと反射的に右に動きがちなので、すこしでも崩れを抑えるための儀式みたいなものです。
個人的には、これがわりときくのです。
特にEB。僕は右腕が前の前後交差で、体が右にねじれがちです。大転子も右に引きやすくなります。このタイミングで縄もそれがち。右に行ってしまったり、逆に支えになる左半身のほうに流れてしまったり……。
手の動かしかたにも問題はあると思いますが、バランスの中心がズレることで縄の軌道がズレる展開もあると思うんですよね。
大転子の位置をそろえると、バランスが安定します。すると手や縄の動きがそれまでよりクリアに感じられる。バランスの崩れという余計な感覚がなくなるからでしょう。言ってみれば、体が安定して固まって、「縄を通すべき場所」として腰から下にねらいを定められるようになるのです。
最初は上半身の問題と思っていました。
EBに限らず、トードやCLのように、特殊交差は非対称的なフォームや腕の入りこみなど体のねじれがあります。手や縄を持っていくのが上半身ということを考えても、上半身が不安定だから縄がそれるんだろうな …… と。
その上半身が「乗って」いるのは腰や脚です。ここが不安定だからこそ、上半身のバランスの崩れにつながるし、逆に上半身のブレを支えることもできない。肩にしても、脚にしても、水平から一方に傾けば引きぎみになるし、どちらかに重心が寄って固くなります。スイングやジャンプに大きく影響します。
縄はただ回すだけではありません。どこに向けて回すかが自分の中で明確にならないと、うまく回せません。だから、バランスの崩れないフォームが重要になるのです。
その要(かなめ)として、確かめやすい基準点が大転子でした。
見つめる場所は上半身だけではないと、体はずっと知っていたのかもしれませんね。