今回は「教える順番のこと」。
なわとびは手首で回すものと言われます。
たしかに、上手な人は、跳んでいるときにほとんど腕が動いていません。オープン(普通の前とびや後ろとび)はもちろんのこと、交差が入る技でも腕の動きは最小限です。
5重とびとか6重とびを見ると、手首の動きがハンパじゃないみたいなことも言われます。
だから「手首で回そう!」と教えるようになります。
でも、実際、そのアドバイスで上達しているでしょうか?
たぶん、うまくいかないと思います。
うまくいくとしたら、本当に「手首の回し方さえうまくいけば」うまくなる子に教えたときくらいではないでしょうか。
なんでそうなってしまうかといえば、手首の技術より先に覚えるポイントがまだできてないからじゃないかと思います。
たとえば遠心力。
縄の勢いをつかめないのに手首で回そうとしても、縄が暴れるだけになりそうです。
他にも、そもそも跳ぶタイミングが合ってなくて、回すことにも跳ぶことにも集中できない状態とか、さらにそもそも縄の長さを調節してないとか……。
手首のアドバイスでうまくいく場合もあるとは思いますが、狙ってアドバイスできたならともかく、そうでないなら「たまたま」でしょう。もちろんたまたまでも、うまくいったならいいんですが(笑)。
ただ、それで、「見ろ、やっぱり手首が大切なんだ」とアドバイスの自信をつけてしまうのは早合点だと思います。
要は「教える順番」の大切さなんですよね。
どのつまずきから直せばいいのかを、わかっているのが大事。
手首のポイントは一例です。力を入れるタイミングとか、連続で跳ぶリズムとか、手首以外にも、教えられることはたくさんあります。でも、やっぱり、「それがそのとき一番必要なアドバイスなのか」は別の問題として存在するのです。
たとえば、学校で子どもに2重とびのコツを聞かれると、
とりあえずこれを言ってしまうのですが――。
よく見ると、腕が開きすぎで縄が高かったり、腕が後ろに行きすぎで縄の最低点が足の真下にきてなかったりするわけです。勢いをつけるタイミングよりも、先に修正したほうがいいポイントのある子が多いです。
僕は、おそらく普通の人よりは子どもになわとびを教える機会は多いと思いますが、今まで何度も「見えていた」、先に教えなきゃいけない部分をスルーしすぎていたのかなと思いました。
もし、それが教える順番として正しかったとすると、そこで初めて、教える技術も必要になってくるんでしょうね。
有名なポイントが必ずしも万能なわけじゃなく、教えるポイントを見切る力が大切なのかもしれません。