とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

518 プッシュプル進化論

今回は「回し方のこと」。

腕や縄を引きすぎないようにしたい …… と何度も書いてきました。

縄の軌道が後ろにズレて、足に当たりやすくなるからです。対策として、「手を前に出す」的な言葉も何度か使ってきました。

これを意識するようになってから、すこしはミスが減ってきたように思えます。と同時に、見栄(みば)えだとか、単縄世界の進化(?)だとか思い浮かびました。


まずは見栄えの問題 …… の前に技術的な話。

手を前に出すと、縄の軌道が後ろにズレるのを防げると書きました。実はもう1つ、これもメリットかなと思うことがあって、「体の前に空間を作れる」んですよね。

縄の引きすぎは、交差、EB、TSあたりでよく感じます。特に前回しで引きすぎると、交差やEBなら体の前に手があるので、体がジャマしてそれ以上引けない状態になります。引きすぎているうえに、窮屈だから回しづらくなる状態になっていると思うんです。

手を前に出すと、それを防げます。交差だと、ひじから先を上手に使えるかがポイントになることもあって、体の前で空間を確保できると、ひじから先を動かす余地・スペースも生まれるわけです。

SCCC系を続けて跳ぶと、「体の前の余裕」があるとだいぶラクなのがわかります。いくら速い技でも、空間がなければ腕が縮こまってしまってうまく回せません。上手な人なら、その窮屈さすら苦にしない回し方ができるのかもしれませんが……。


ただ、見た目はあまり良くないように思えます。

これが見栄えの問題。手を前に出すと、どうしても、わざとあごを突き出したような、ゆるんだ雰囲気が出てしまいます。おそらくこれは、なわとびが「縦」の動きで洗練されたイメージがあるのに対して、そこから手がにゅっと「前」に出てしまうと興ざめ ―― という印象ではないかと思います。

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ぱっと見、なわとびで大きく動くのはジャンプ = 体の上下 = 縦の動き。縄は360度回っていますが、基本はジャンプの縦に合わせた動き・勢いがあります。手も、その縦を壊さない挙動を求められているとすれば、逆に空間をせばめたコンパクトな技術こそ、洗練された見た目を作るのかもしれません。

実際、手を前に出すと回しやすい反面、どこか「成功のために精巧を捨てた」見た目の悪さを感じるときがあります。


昔の単縄動画では、案外、手を前に出した回し方を目にします。

昔は今ほど背面系の技がバンバン繰り出されてはいなかったので、SCCCのような基本的な4重系もよく演技に入れられていました。僕の感じたような回しやすさがあったのかわかりませんが、手が前に出ている人はわりといますね。

ところが、最近はそうでもありません。

SCCCとかでも、手が体に近くてもきれいに回す子をよく見ます。「手を前に」作戦からすれば、手を引いても速くきれいに回せてしまえるほどに、技術は進化しているように見えます。

今の若い子たちがどうやって技術を身につけているのかは知りませんが、回す技術が「押すから引く」に移り変わったような、そんな印象を受けました。