■ 動きに見えるこだわりと正確さ
今回は「イメージのこと」。
「杓子定規」(しゃくしじょうぎ)という言葉があります。
融通がきかないこと。「四角四面」も近い言葉です。これ、英語だとスクエア(square)にも似た意味があるらしくて、言語が違ってもイメージすることは同じなんだな …… と思った記憶があります。
これが語感と図形なら、スクエアは図形と印象、でしょうか。
なわとびではどうでしょう。
杓子定規な回しかた? 四角四面な跳びかた?
―― 強く回せばいいだろう。
―― 高く跳べばいいだろう。
このような、「部分」でしか見ていない技術が近いと思います。なわとびは全身運動と言われるように、個々の動きだけでは限界があります。四角で言うなら4点でしか縄をとらえられずに、軌道が四角いイメージ。それ以上点がつながらず、円状にならない回転です。
跳びはねる様子も、固い、中身のつまった箱のような感じかもしれません。ぎくしゃくぎくしゃく、ずしんずしん。これになぞらえて、上手な人をイメージすると、球のように弾むみます。鉄球ではなく、まるでスーパーボールのように、ぎゅっ、ぽーん。ぎゅっ、ぽーん。
透けて見えるのは、こだわりの強さですね。
「四角」が言葉として融通がきかないのを表しているように、その行動の取りかたにも、こだわりが浮きでてしまうのでしょう。僕自身、その傾向があるのでわかるのですが、なわとびでも、強く影響する部分です。
広い視野で見られない=複数の動作を合わせられない。
この特性が、全身運動の中で動きのつながりを阻(はば)みます。回す・跳ぶのバランスは、どちらかを意識しすぎるともう一方が足りなくなります。実際は、わずかに時間差をつけて手と足を動かすのがいいと、だんだんと気づきました。そして、崩れないように支えることも。(支え自体がゆがんでしまうことも……)
これができないと、本当に「四角」なのです。円状に回る縄なら、立体カーブを描きながら車で走るように視界が飛びこんでくる。でも、バランスの取れない縄は、妙に直線で、突然角度がついて飛びこんでくる次の景色に対応できないようなものです。
こだわりをすこしずつゆるめて、柔軟性をつけることも、なわとびには必要なのだと思えるようになりました。
正しい技術が身につけば強いのでしょうね。
スクエアという言葉を調べたのは、以前、ゴルフのブログを読んだときです。
グリップを握る、手具を振る、角度をつける …… なわとびに重なるものがあって、今も読んでいて気づかされる話が多いです。スクエアは、正位置、ニュートラルとでも言えばいいんでしょうか。「四角四面」に比べれば、まじめに、基本を押さえた姿が浮かびます。
まるで定規で引いたようなラインできれいに体が動くのを、ただの堅物(かたぶつ)と思うでしょうか。
選手クラスのなわとびは、フォームが崩れないことが多いです。四角くなんて見えません。安定感が、固いイメージを上回るからです。置き物なら四角いほうが安定しますが、縄は跳ぶもの。空中でもきっちり四角い枠に収まる姿に、理想が見えます。
イラストはちょっと力を抜いて。
学校で、ほんとにだまされそうになったんです……。