とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

711 たこ焼きみたいに回せるの?

■ 自然に回すための支えとは……

今回は「回しかたのこと」。

自然に回してみたいな、とよく思います。

張った縄がムリなく回る。それだけのことが難しくて、自然に回せるならいろんな技がもっと自由に跳べるんだろうといつも思っています。

自然と言っても、自分の手で動かしている以上、縄を回すのは意志からつながった人工的な動きです。それが、物理法則にきれいに乗っかって動くところまで行けば、「自然」な世界だと思うんですよね。


以前、気になってメモしていたせりふがあります。

「うまくいかん思ても ちゃんとまあるくなるから大丈夫」

  ―― 田中相『天狗の台所』 第十二話「たこ焼き」(講談社


たこ焼き未経験の主人公が、生地をひっくり返そうと緊張しているところにかけられた一言。

たこ焼きを自分で作ったことがありません。それで、あの専用のプレートの上で生地をくるんと回すのは、職人技か、慣れた人だけができるイメージでした。お好み焼きやホットケーキだって、生焼けの半面を返すときは崩れそうで緊張するものです。

でも、たこ焼きはそうでもないらしい。それこそ自然に回って「まあるくなる」と経験者は語る……。何が違うんでしょう?

半球状にくりぬかれたプレートだから、水がたまるように生地も丸く収まっていくのでしょうか。お好み焼きだと、鉄板は平面なので、生地は重みで広がってしまいます。これが一段低く円の枠があるなら、形も決まるでしょうし、それこそフライパンいっぱいに生地が広がっていれば、フライパンの直径できれいに収まるでしょう。


つまりは「支え」でしょうか?

なわとびは、何も考えずに回しても丸くは回りません。跳ばないといけないからです。空中という新しい場所で違う姿勢に変わるから、体の支えかたも変わる。特に、地上で回している段階なら足で地面を踏んでバランスをとっていたのが、空中では頼る地面がありません。たこ焼きの丸さを支える型枠がなくなるようなものです。

昔、ちょっとだけダブルダッチスクールのかたとご一緒する機会がありました。教えていただいた話の中で一番実感したのは、「回しつづければ縄は戻る」ことです。

2本の縄がからまったとき、そのまま回しつづければ、たしかに縄はダブルダッチの回転に戻るのです。2人が手と足で支えあうから崩れないのかもしれません。学校のクラブでも、ターナー(回し手)にはいつもこれを伝えています。


1人で跳ぶときも同じでしょうか。

空中にある体のまわりを縄がブレずに回るには、体がブレないことだけが重要、と言ってもいいのかもしれません。

体が空中にピン留めされたような。
5円玉を糸に通して回すような。

一度だけ4重とびがあまりにきれいに回って驚いたことがあります。だいぶひざを曲げて、腕も伸ばして試したときでした。たしかに、これだけ体を固めて縄も張りを持たせて「いかにも」な回しかたに特化すれば、回っている縄の形が心に見えるくらいに回るものなんだなあ …… と実感しました。

フォームは作りあげるものですが、縄が自然に回るお膳立てをすることも、自然への道なのかなと思います。

イラスト:空中でくるくると縄を回す男の子。立体矢印が上と下で回っている。中央上部にたこ焼きがくるんとひっくり返る様子。右側で縄を持った女の子が食べたそうにほわーとした顔をしている。その横でもう1人女の子が、縄を見ろ縄を、とグリップでつっついている。全体は枠で囲われ、四隅にたこ焼きの絵。

自然にまあるく …… おなかが鳴る