とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

712 後ろ回しと伸びる縄

■ 意識するから得られる力

今回は「回しかたのこと」。

「意志からつながった人工的な動き」

前回書いた言葉です。縄が自然に回ればいいな、と思っても、実際は自分で動かそうとしなければ縄は回転してくれません。自分で動かして初めて、遠心力や惰性のように自然にかかる力が生まれます。そして、それをジャマしないように、回す動きを体で支える。

この感覚、何か思い浮かぶな …… と思ったら、後ろ回しでした。


後ろ回しに苦手意識のある人は多いでしょう。

少なくとも、前回しより回数をこなせる人はそんなにいないはず。前回しのギネスが8重とびでも、後ろ回しは6重とびすら動画がぱっと出てきません。

それだけ前より回しづらいのです。回しづらいからこそ、心も体も構える。ここに、回しかたのコツ自体が隠れていると思うんですよね。

たとえば体。

回しづらいから、体を固めて支える姿をよく見ます。後ろの2重とび以上になるとますますでしょう。僕もそうで、回せるだけの支えを空中の体に置くことは多いです。

そして手。

なんとか回そうと、意識して手を動かします。その意識の差がなんて大きいのだろう、と今さらのように感じます。縄は自然に回れば理想的ですが、それをねらって手を止めても、縄は勝手に回るものではありません。回そうとする意志を縄に伝えることが必要なのです。

この話でも、手を背面に持っていくSOOTSのほうが回しづらくて、かえって手を動かすのを意識しているんじゃないかと書きました。意識というキーワードに通じるものを感じます。


最近、ひさしぶりに後ろSOEBOを跳んでみました。



一時期よく跳んでいたのが、全然跳べなくなってました……。一方、たとえば後ろ3重とびは、あのころより慣れた気がします。縄が張って、伸ばせているから、回しやすい。違っているのは、上で書いたような、回しかたと支えかたの意識です。

過去に後ろSOEBOが跳べたと言っても、だいぶ力ずくで、腕ごと強引に縄を持っていくような回しかたをしていました。それでも跳べたんだから、今よりすこしは若かったんだろうなーと思いつつ、後ろ3重とびのように、空中にできた縄の弧を意識したうえで、手を動かすような感覚で回してみると、成功するようになりました。

縄が体の下を行ったり来たりする技なので、縄を振るための空中の支えも大事。体のねじれに弱くてスムーズとは言えませんが、それでも、また跳べるようになったのは、力ずくだけでない、考えたうえでの動きが、自然な回しかたに近づけたからかなと思っています。


ざっくりとした話ですね。

でも、イメージを感覚につなげるってこういうことだと思います。他の技でできたことが転用できないなら、どこかで同じ感覚を作りだせていないからでしょう。

できる技の動きや縄の感覚を意識してみると、あいまいだったイメージからつかみとれるものがあると思います。

イラスト:後ろ3重とびをイメージしている女の子。伸びる縄に合わせるように横線が走り、イメージ中の女の子の頭につながっている。イメージから、手の動きや体の支えを考える女の子。余白に、「イメージを」「感覚に」。

できた技から別の技へとつながっていく