とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

753 親指の魔術

■ 親指の位置を動かす

今回は「回しかたのこと」。

どうして手が止まるのでしょう?

たとえば3重とびに挑戦している子は、最初は3回旋目が空回りになりがちです。3回回すことに慣れていないのが大きいんでしょうけど、力が入りすぎて回せないのも無視できない理由だと思います。

では、どこに力が入っているのか?

胸や肩から指先にかけて、どこも力んでいます。ここで、ポイントの1つとして「手を動かして回す」のを考えたとき、力が入りすぎているのは親指でしょう。


親指がグリップを押さえつけているのです。

握りすぎと言えます。だから、手を動かして、グリップから縄へと動きを伝えられません。手が固まって回せないのです。


2年前にこの話でも書きました。特に、親指でグリップを押さえつけてしまうと、縄を振りあげるのが難しくなります。3重とびの例なら、3回旋目に入るスタート段階で縄を回せなくなってしまう。だから失速して空回りにつながるのです。

ついでに言えば、ジャンプにも影響しそう。親指の握りは基本下向き。ジャンプを阻害することになります。2重とびまでは余裕のあるゆっくりとびができていた子が、3重とびになったとたんにジャンプが伸びきらないのをよく見ます。僕自身、何度も実感しました。上半身の力みや、力みで体のラインがズレるせいもありますが、親指もまたジャンプを押さえつけているのだと思います。


「親指の位置が動くように」

と言葉にすると、個人的には意識しやすいです。今回は「手を動かすこと」をポイントとして見ていますが、親指が動きを制限していたら、それもままなりません。それなら、親指が固まらないようにすればいい。

変に親指単体で動かさなくていいのです。グリップがすっぽ抜けないように支えられれば握りとしては十分。その状態で、親指の「位置」が動けば、手が動いていることになります。

イラスト:グリップだけ両手で回している男の子A。右手は「親指の位置」を「動かす」。左手は親指を押しつけていて、「親指の位置が動かないと手も動かない」と書かれている。それを見ている男の子Bが「サムズアップでサムズフリーみたいなもんか」と片手の親指は上を向け、もう片方の手は親指を振っている。ふきだしでAが「うん、まあそんな感じ。」と苦笑している。

608 の別バージョン

具体的なイメージがあるから動作につなげられる。言語化って大切ですね。

この時期だと、冷え込みも強くて、思わず親指もぎゅっと縮んでしまいます。僕なんかだと年齢的にも体の筋がゆるみづらくて、体を固めて回してしまいがちです。必要な場所を動かす意味でも、何か言葉にできるイメージって大切です。


親指は、わりと日常を支配してます。

スマホにしても、テレビやゲームのコントローラーにしても、握って親指で操作するデザインは多いです。当然、親指を動かす経験を数多く重ねることになって、手で何かしようとすると、親指主体になることも多い。

なわとびだと、親指は操作というより支えの役割が強いので、親指を意識すると、支えることを強化する方向に体が動いてしまう。こんな反射も私たちの体の中で起こっているのかもしれません。