■ 親指の位置を動かす
今回は「回しかたのこと」。
どうして手が止まるのでしょう?
たとえば3重とびに挑戦している子は、最初は3回旋目が空回りになりがちです。3回回すことに慣れていないのが大きいんでしょうけど、力が入りすぎて回せないのも無視できない理由だと思います。
では、どこに力が入っているのか?
胸や肩から指先にかけて、どこも力んでいます。ここで、ポイントの1つとして「手を動かして回す」のを考えたとき、力が入りすぎているのは親指でしょう。
親指がグリップを押さえつけているのです。
握りすぎと言えます。だから、手を動かして、グリップから縄へと動きを伝えられません。手が固まって回せないのです。
2年前にこの話でも書きました。特に、親指でグリップを押さえつけてしまうと、縄を振りあげるのが難しくなります。3重とびの例なら、3回旋目に入るスタート段階で縄を回せなくなってしまう。だから失速して空回りにつながるのです。
ついでに言えば、ジャンプにも影響しそう。親指の握りは基本下向き。ジャンプを阻害することになります。2重とびまでは余裕のあるゆっくりとびができていた子が、3重とびになったとたんにジャンプが伸びきらないのをよく見ます。僕自身、何度も実感しました。上半身の力みや、力みで体のラインがズレるせいもありますが、親指もまたジャンプを押さえつけているのだと思います。
「親指の位置が動くように」
と言葉にすると、個人的には意識しやすいです。今回は「手を動かすこと」をポイントとして見ていますが、親指が動きを制限していたら、それもままなりません。それなら、親指が固まらないようにすればいい。
変に親指単体で動かさなくていいのです。グリップがすっぽ抜けないように支えられれば握りとしては十分。その状態で、親指の「位置」が動けば、手が動いていることになります。
具体的なイメージがあるから動作につなげられる。言語化って大切ですね。
この時期だと、冷え込みも強くて、思わず親指もぎゅっと縮んでしまいます。僕なんかだと年齢的にも体の筋がゆるみづらくて、体を固めて回してしまいがちです。必要な場所を動かす意味でも、何か言葉にできるイメージって大切です。
親指は、わりと日常を支配してます。
スマホにしても、テレビやゲームのコントローラーにしても、握って親指で操作するデザインは多いです。当然、親指を動かす経験を数多く重ねることになって、手で何かしようとすると、親指主体になることも多い。
なわとびだと、親指は操作というより支えの役割が強いので、親指を意識すると、支えることを強化する方向に体が動いてしまう。こんな反射も私たちの体の中で起こっているのかもしれません。